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朝日新聞社は、「橋下氏人権蹂躙記事」の再発防止策が見つからないなら、週刊朝日を廃刊にすべきだ。 [報道・言論]

(1) 10月17日発売の週刊朝日に、橋下大阪市長のDNAをさかのぼり、本性をあぶりだす、として、「ハシシタ 救世主か 衆愚の王か」 「ハシシタ 奴の本性」という題名で、橋下市長の父親が、被差別部落出身者で、犯罪者であり、従兄弟に、殺人犯がいた、などという記事が掲載されたが、橋下市長の抗議を受け、10月20日の朝日新聞紙上に、週刊朝日の「おわび」とともに、朝日新聞の謝罪文も掲載された。

(2) 一方、橋下市長は、この記事が自分の子供達に与えた影響や、反省だけではなく、経過を検証せよ、などとしてツイッターで、再発防止策の報告を朝日新聞らに求めている(10月20日午前・https://twitter.com/t_ishin

(3) 朝日新聞に掲載された同社の謝罪文は、「当社は差別や偏見などの人権侵害をなくす報道姿勢を貫いています。当社から2008年に分社化した朝日新聞出版が編集・発行する「週刊朝日」が今回、連載記事の同和地区などに関する不適切な記述で橋下徹・大阪市長をはじめ、多くの方々にご迷惑をおかけしたことを深刻に受け止めています。」というものである。

 確かに、今回の週刊朝日の記事は、朝日新聞社の、「差別や偏見などの人権侵害をなくす報道姿勢」からは真逆のものであろう。

(4) もともと新聞というのは、正義と真実を追求して報道するため、取材相手の人権やプライバシーを冒す場合も多々あり、そのせめぎ合いの中で取材と記事制作が行われるものである。

 そうやって朝日新聞が多くの取材を行い、多くの記事発表を行う中で、文芸、家庭雑誌というならともかく、同じ報道分野で新聞にはない取材で週刊朝日が記事を作ろうとすると、また、同種の競争相手の雑誌も多い中で、今回のような暴走取材、暴走記事が生まれるのは必然ではないだろうか。

(5) 朝日新聞社は報道機関として、グループ会社、完全子会社が発行する週刊朝日が、今後、二度と同様の問題を起こさない対応策を検討して発表する責任がある。

 適切な対応策が見つかればそれでよいが、今回のような暴走記事が、新聞社系、報道系雑誌の置かれた立場から来る必然的なもので、適切な対応策が見つからないならば、朝日新聞社は、週刊朝日を廃刊するしかないと考える。朝日新聞社の英断に期待する。


週刊朝日の、橋下大阪市長の出自詮索記事は、許されない人権侵害であり、政治活動妨害である。朝日新聞出版社は社長更迭等の、適切な再発防止措置を講じよ。 [報道・言論]

(1) 10月17日発売の週刊朝日は、表紙に大きな橋下大阪市長の顔写真を掲載し、

「ハシシタ」 救世主か 衆愚の王か 橋下徹のDNAをさかのぼり本性をあぶり出すとの大きな見出しを表紙に出した上で、本文中に、「ハシシタ 奴の本性」という題名の、佐野真一氏の記事を掲載している。

(2) この記事は、橋下氏の政策について論じるつもりはないと宣言した上で、

「橋下氏が日本の政治を左右するような存在になったとすれば一番問題にしなければならないのは、敵対者を絶対に認めないこの男の非寛容な人格であり、その厄介な性格の根にある橋下の本性である。そのためには、橋下徹の両親や、橋下家のルーツについて、できるだけ詳しく調べ上げなければならない。」

などとして一連の記述を行っている。

(3) しかし、そもそも、「政治家の人格に問題がある」、という主張は言論の自由の範囲内だとしても、政治家の人格に問題がある原因として、政治家の両親や家のルーツを探って、そこに問題があるなどと、特に科学的根拠を示すこともなく、政治家の両親や家のルーツを調べてあげつらう、などということは、政治家の人格に対する不当な攻撃であって、およそ、言論の自由の範囲に属さない、違法、不当な名誉毀損行為である。

 特に、本件記事では、橋下氏の父親が、被差別部落出身者のヤクザで少年刑務所にいたことがあり、覚醒剤中毒で自殺したということや、その弟の子、つまり橋下氏の従兄弟が金属バット殺人事件を犯したなどということが記載され、そういう父親の行動や橋下家に殺人者がいる、などというルーツが現在の橋下氏の「問題人格」の原因になっている、という趣旨の文章になっている。

(4) しかし、言うまでも無く、父親や親族がどんなに犯罪者であろうが、人格に問題があろうが、そのことで人の人格を問題にしてよいはずがない。犯罪者の子は犯罪者の気質を受け継いでいるから問題である、などと、そんなことを言うこと自体が重大な人権侵害である。また、本件記事が被差別部落にも言及していることから、本件記事がまじめに犯罪気質の遺伝等について検討したかどうかを評価する必要もなく、要するに犯罪者差別、被差別部落出身者差別に凝り固まった、「便所の落書き」的な内容であることを覚悟しているというべきかもしれない。

 橋下氏は政治家であるから、現在、存命中の父親がヤクザである、などということなら、現在の橋下氏の政治活動に悪影響を与える恐れがある、といった意味で、国民の正当な関心事として、報道の自由の範囲内であるという場合もあろう。

 しかし、本件記事は、そのような観点ではなく、父親がヤクザで被差別部落出身者だからその遺伝により、息子の人格に悪影響を与えているに違いない、という、全く合理的根拠のない橋下氏への人格攻撃であって、決して許されるものではない。

(5) また、橋下氏は、現在、日本維新の会の代表で、同党は、総選挙を目前に控えて、自民党、民主党に次いで、第3位の支持率を有する有力政党であり、その有力政党が国民から正当な評価を受けて次期総選挙で正当な議席を獲得する、というのは、この国の政治にとって極めて重要なことである。

 本件記事は、あたかも、父親が被差別部落出身者のやくざで、一族に殺人者がいるから橋下氏自身の人格にも問題があるなどと、何の根拠もなく橋下氏を攻撃するものであるが、その結果、不当に橋下氏の評価が下がり、国民の評価が歪み、日本維新の会が、本来得るべき議席を得られない、などという事態になれば、本件記事の発表は、極めて由々しき政治活動妨害行為だということになる。

(6) 今回の週刊朝日の記事は、前記のとおり、極めて重大な橋下氏に対する人権侵害、人格攻撃であるとともに、極めて重大な日本維新の会の政治活動に対する不当な妨害行為であって、決して許されないものである。

 本件記事の不当性は極めて重大であるとともに、雑誌の表紙に橋下氏の顔写真入りでことさらに橋下氏の人格と日本維新の会の信用を貶めるために週刊朝日を挙げて組織的に行われたと評価できるもので、このような事態に際し、発行会社の朝日新聞出版は、編集長を交代させるようなことでは足りず、社長を更迭してその責任を明らかにし、二度と同様の行為が起こることのないような措置を取らなければならないと考える。


日経新聞の信用を悪用する日経新聞の悪質商法を批判する。 [報道・言論]

(1) 最近、大阪のターミナル駅で、日経新聞のジャンパーを着た女性が何人も「日経新聞の速報です」と叫びながら日経新聞の表題を書いた紙を配っている。

 日経新聞の速報というのだから、すわ、有名金融機関の倒産でもあったか、と思って紙を受け取ると、右上に「日本経済新聞社」という、いつもの模様付の表示があるだけで、何のことはない、単なる日経新聞電子版の宣伝であった。

(2) 消費者を目くらましして商売をする悪質商法を、日経新聞ともあろうものが、まさに日経新聞の信用を悪用して行うなどというのはもってのほか、というべきであろう。

 そんなことをする会社の商品を買ってはいけない。入り口でおかしなことをする会社が、つまり、そんなことをしてでも客を集めようとするような会社が、その後、まともな商売をするはずがないからである。

(3) 今回、宣伝した日経新聞電子版は、自らの信用を売り飛ばしてまで販売するものでないことは明らかだろう。

 こんな商売が、日経新聞の会社ぐるみのものではまさかないだろうが、関係者の猛省を促したい。


新聞、テレビを支配し、政界やプロ野球界にまで絶大な権力を持つ渡辺氏の専横を、このまま許してもよいのか。 [報道・言論]

(1) 11月11日の巨人軍、清武代表による渡辺・読売新聞社主筆に対する「告発」がなされて以降、世論が渡辺氏に対して批判的なのに対して、総じて、各界のコメントでは渡辺氏を強く批判したものがほとんど見られない。

(2) これは、まず、プロ野球界ないしはOBたちとしては、渡辺氏を下手に批判して、今後、巨人の監督、コーチ、また、日本テレビ系の解説者や番組等から閉め出されることを懸念するからであろう。また、各種の司会者やタレント、またテレビ等で活躍している「識者」らとしても、日本テレビ系の番組等から閉め出されてはいけないので、「渡辺氏も清武氏もどちらも悪い」「社内のもめごとで世間を騒がせるな」などというコメントでお茶を濁すばかりなのだと思われる。

(3) しかし、渡辺氏は、清武氏らから、来年の巨人の人事について、10月20日に詳しく報告を受けておきながら、11月4日に、「何も聞いていない」などと多くの記者とカメラの前で語っているのであるが、これは少なくとも、渡辺氏にとんでもない「ボケが来た」ということであろう。

 渡辺氏は、自らとんでもない「ボケが来て、社会に迷惑をかける状態になった」ということを認識して自らすべての役職を退くか、少なくとも、すでに10月20日に詳しい報告を受けて了承し、その後、清武氏らは、関係者らとの契約手続等を進めていたのだから、その後、自ら独自に進めた交渉等を白紙に戻し、清武氏らの行動を追認すべきは明らかである。

 ところが渡辺氏は、清武氏らの諫言を受けても、あくまで、その後の行動を撤回しようとせず、今回の清武氏が捨て身の「告発」で抵抗せざるを得ない状態にしたもので、このような行動を取る渡辺氏が、今日の地位、立場にいることが不相当であるこてゃ余りにも明らかであろう。

(4) 渡辺氏は、新聞、テレビを支配し、政界やプロ野球界にまで絶大な権力、影響力を誇っている。その渡辺氏が、非常に問題のある行動を取っているのである。それなのに、そのことを、清武氏以外に、誰もほとんど指摘しない、などというのは、日本の言論界も、地に墜ちたというべきである。


巨人・清武代表の渡辺読売会長批判問題、読売系ジャーナリストは皆、腐っている。 [報道・言論]

(1)  11月11日、プロ野球読売巨人軍の清武代表が、親会社の読売新聞・渡辺会長が巨人軍のコーチ人事等について、つい先日承諾したことを、「何も聞いていない」などと言って契約直前に全部、一人でひっくり返した、そんな横暴は許されない、などと、記者会見を行って告発した。

(2) 渡辺会長と言えば、たとえば読売朝刊1面の「編集手帳」(朝日における天声人語)の記述に立腹し、その日の遅い版で中身を完全に差し替えさせた等、そのワンマン振りは有名である。

(3) しかし、メーカーや商社が、カリスマ・ワンマン経営者の指導のもと、業績を一気に高める、というのと訳が違う。読売新聞は言論機関である。ワンマン経営者の顔色を窺って記者達が自由に執筆できない、などというのでは言論機関の名に値しないというべきであろう。

(4) また、渡辺氏に卓越した思想や識見がある、とでも言うならともかく、おかしな意見を、その権力でもってごり押ししているに違いないことは、巨人やプロ野球を巡る一連の言動からも明らかである。

 渡辺氏はもともと野球には詳しくないことを自認していた。昨日、今日の生半可な野球の知識で、プロの監督やコーチを批判し、単に批判するだけではなく独断で辞めさせたりする。その様子を見れば、渡辺氏は身の程を知らず、稚拙な意見を、その権力でもってごり押ししているに過ぎないということだろう。

 あるいは、プロ野球の問題で渡辺氏の鶴の一声で決まったような事柄についての、日本テレビ系の野球解説者達の、まさに腫れ物にさわるような不自然なコメントぶりは、いつも異様だった。

(5) そんな滅茶苦茶な渡辺氏について、日本最大の発行部数を誇る言論の府である読売新聞で、誰も辞めさせることができないどころか、諫めることすらできなかった。

 今回の、清武代表の告発のあと、今回、渡辺氏から不当にも降格の憂き目にあった桃井・巨人オーナーは、あろうことか、逆に渡辺氏を擁護し、前回の「人事了承」以降、クライマックスシリーズ(CS)で負けたことで渡辺氏も考えを変えたものだとし、渡辺氏ではなく、清武代表の方を批判した。

 しかし、渡辺氏は直前に了承した清武代表提案の人事について、「自分は聞いていない、そんな人事に責任は持てない」などと数日前のことをすっかり忘れてしまった発言をしているものであり、その後、CSで巨人が負けて方針を変えたものでないことは明らかだろう。

 桃井氏にすれば、巨人のオーナーを辞めさせられるくらい、特に痛痒を感じるものではなく、それよりも読売の神たる渡辺氏を擁護すること自体が、最大の自らの保身術なのだろう。

(6) 自分からは何も言わないだけではなく、命がけで正義のために巨悪に挑んだ清武代表を逆に切り捨てる。この期に及んでも他の人間は誰も声を上げない。読売系ジャーナリストは皆、腐っている。


天竜川・川下り船事故に考える。事故直後の現場のヘリコプター取材は自粛せよ。 [報道・言論]

(1) 8月18日の各紙朝刊1面は、天竜川・川下り事故の被害者救出の現場を、ヘリコプターで上空から撮影した写真が掲載されている。

(2) しかし、その写真撮影の時間は、まだまだ行方不明者の捜索が必死に続けられているところである。また、救出された人についても、非常な混乱状態にあったものと思われる。
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(3) このような事件、事故取材のときに常に考えることであるが、事件、事故の現場で行方不明者を捜索中なのであるから、行方不明者の「助けて」という声を聞き漏らさないという、簡単で、極めて重要な理由から、また、作業員の意思疎通を妨げないという観点から、また、救出はされたものの、まだ精神的に落ち着かない被害者に無用の刺激を与えないという意味からも、上空に何機ものヘリコプターが舞い続けるという状態は、本来、あってはならないものである。
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(4) 取材の自由、報道の自由、国民の知る権利がそのために制約されるのも当然のことであるから、事故直後、捜索中や被害者がいる中での、ヘリコプターでの取材は自粛されるべきだと考える。

裁判所の、田原総一郎氏への取材テープ提出命令は正当である。 [報道・言論]

(1) 田原総一郎氏が、北朝鮮拉致被害者はすでに死んでいるとテレビ番組で発言した件で、被害者の有本氏らから訴えられている民事訴訟で、神戸地裁は田原氏に対して、外務省官僚への取材のテープの提出命令を出した。

 田原氏側が取材テープの一部を反訳した証拠を提出したことから、裁判所は、テープそのものの提出を命じたようである。

(2) これに対して田原氏は、取材の自由への重大な侵害だとして、大阪高等裁判所への抗告を行った。http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20101026-OYT1T00949.htm

(3) しかし、田原氏が思うほど、裁判所は取材の自由を認めていない。

 公務員等に守秘義務違反を犯させて、公務員の不正を暴く、といったことですら、これを取材の自由として保護するかどうかについて、そのような違法性阻却は、法律に特に規定されていないし、裁判所も一般に認めない。

 いわんや、本件では特に、田原氏が取材内容を報道したということではなく、知識として仕入れた情報を報道としてではなく、番組中で披瀝した内容が妥当だったか、という問題である。

 そんな、報道でもない、いい加減なもので、公務員の守秘義務や名誉棄損等の違法性を阻却する、ということがあってはならないものである。

(4) 田原氏に、北朝鮮拉致被害者についての情報を漏らした外務官僚がいるとすれば、それは公務員による、重大な守秘義務違反なのであって、それを明らかにできないというなら、田原氏が根拠のない発言をした責任をすべて負うだけの話である。

 裁判所が田原氏に取材テープの提出命令を発したことは極めて正当である。


NHKの大相撲捜査情報漏洩事件、法的には情報元の警察の方が問題だろう。 [報道・言論]

(1) NHKの記者が、大相撲の野球賭博事件での警察の捜索情報を時津風親方に漏らしたとされる事件で、NHKへの非難が殺到しているとのことである。

(2) しかし、報道機関とはいえ民間人が捜査情報を知っていること自体がおかしいというべきである。こういうことが起きないように、捜査機関は捜査情報を報道機関にも漏れないようにすべき、ということが第一であって、捜査情報を漏らした捜査機関の責任こそ、追及されるべきだと考える。

(3) そもそも、捜査機関は日頃からマスコミ情報を操作し、不当に情報を漏らし、世論を誘導する。そのことの弊害が一つの形で出たのが今回の事件である。

(4) それを報道するのが報道機関であるため、絶対に漏らされるはずのない報道機関の捜査情報が漏らされたのが大問題である、という観点でのみ今回の事件は報道されている。

 しかし、捜査機関から捜査情報が漏れた事実、また、捜査機関は日頃から情報操作のために故意に情報を報道機関に渡していることの方が、もっと大きな問題だと考える。


原口総務相の「関係者によると」という形での容疑を認めた報道は不適切だ、との意見に賛同する。 [報道・言論]

(1) 1月19日の閣議後の記者会見で、原口総務相は、小沢氏の4億円疑惑の報道の関連で発言し、「関係者によると」という報道は、捜査側か、被疑者側かすら全く判らないから、被疑者側から、容疑を認めた発言があったのか、捜査側からのリークなのか、曖昧なまま、まるで被疑者が容疑を認めたかの印象を与えて不適切である旨の発言を行った。

(2) 原口氏はマスコミ各社の批判を受け、翌日、「取材源を明らかにせよとは言っていない」と釈明し、発言を後退させたが、原口氏の前記発言に賛同する。

(3) 報道の自由は、マスコミによる公権力への取材の自由なくして成り立たないものである。公権力は情報を隠蔽しようとするが、匿名を条件に情報を開示してくれることもあり、あるいは、若干、不正な手段を用いても情報を得るべき時があり、それらの場合、取材源の秘匿によりマスコミと公権力側の情報提供者の立場が守られるということがあり、取材源の秘匿は極めて重要なものである。

(4) しかし、一方で取材源が秘匿されることをいいことに、公権力等が虚偽の情報を流し、情報操作することが大きな問題であることも事実である。その典型が、捜査当局により、被疑者が被疑事実を認めたわけではないのに「認めた」などとの情報を流すことであろう。

(5) 「関係者によると」という報道は、捜査側関係者によるのか、被疑者側関係者によるのかで情報の意味が全く異なってくる。また、捜査側関係者による情報だとすれば、公務員の秘密漏洩の問題にもなってくるものである。

 そこで、情報源秘匿の意味は大きいけれども、こと、犯罪報道の場においては、捜査側情報なのか、被疑者側情報なのか、あるいはそのいずれでもないのかを明確にしない情報は、その存在自体、不当であるということになる。

(6) 「関係者によると」とすることを条件に捜査側が情報を流し、マスコミがそれをたれ流すようなことがあってはならないと考える。犯罪報道おける情報は、捜査側か、被疑者側か、それ以外かを明らかにして報道されるべきである。その意味において、原口総務相の「関係者によると」という形での報道は不適切だ、との意見に賛同する。


政党ビラ最高裁有罪判決・チラシ禁止の張り紙に反しただけでの住居侵入罪は不当だ。 [報道・言論]

(1) 11月30日、最高裁は、政党ビラを配布するために葛飾区のマンションに立ち入ったことで住居侵入罪に問われた住職の上告を棄却する判決を下した。

 最高裁は、マンションの張り紙の内容や立ち入りの目的などからして、立ち入りが管理組合の意思に反するものだったことは明らかで、7階から3階までの廊下に立ち入ったことから、法益侵害の程度が極めて軽微とは言えない、とし、表現の自由は無制限に保障されるものではなく、公共の福祉のために必要かつ合理的な制限を受けるとし、有罪判決を下した高裁の認定を是認した。

(2) これは、08年4月の、「立川事件」判決の、防衛庁官舎での反戦ビラ配布についての住居侵入を認めた最高裁判決に続くものであるが、それとは大きく異なるものである。本件は極めて軽微なものであり、まらに、「チラシ禁止」の張り紙1枚の記載に反しただけで住居侵入罪を認めるもので、不当である。

(3) 立川事件の場合、まさに、ビラを配布する者が、自衛隊官舎に対して自衛隊のイラク派兵に反対するビラを配り、それに対しての警告表示がなされ、また、被害者側から事前に被害届けが出されたにもかかわらず、敢えてビラを配りに官舎に入ったことを重視し、決して軽微ではない、として、住居侵入罪を認めたものであるが、「葛飾事件」にはそのような事情は全くない。

(4) まさに、チラシ1枚の記載に反してマンションに立ち入ったことで住居侵入罪を認めるというのは不当である。住居の平穏を害した犯罪だ、というなら、その他宅配ピザのチラシ配布やセールスマンのマンションへの立ち入り等を、すべて同列に住居侵入罪で処罰しようというのか。それらは放置しつつ、政治ビラの配布、特に、共産党の政治ビラ配布だけを住居侵入罪だとするのは、特定の政治活動の自由のや言論の自由をことさらに侵害するものとして、違法、不当であると考える。

(5) 立川事件の場合、住民にとって、自衛隊員である自分たちに反対する組織の人間が、禁止措置を取ってもそれを無視して玄関ドアの前まで来てチラシを玄関ポストに入れていくという、ドア1枚向こうに自分たちを否定する「反対派」がうろうろするという、まさに住居の平穏を害する行為であって住居侵入罪の適用もやむを得ないところであるが、「葛飾事件」は全く異なるというべきである。

(6) ビラを各戸に配るという、極めて基本的な政治活動の自由は最大限尊重されるべきであり、ことさらに、特別に禁止措置を厳重に講じたのにそれを無視した場合に初めて住居侵入罪が適用されることがあるとしても、張り紙1枚に反しただけで住居侵入罪を認めた「葛飾事件」最高裁判決は言論の自由を定めた憲法に反し、違法、不当であると考える。