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黒川検事長の定年延長と、検事総長任命を強行すれば、検察の信頼は地に堕ち、信頼回復には百年では足りない。 [新安倍政権]

(1)黒川東京高検検事長の定年を半年間延長し、その間に現検事総長の稲田氏が「在任2年間」となるので、慣習に基づいて退官し、その後、黒川氏を検事総長に任命するのではないか、そんな検察人事への不当な介入は許されないと、安倍政権が批判されている。


(2)黒川氏はこれまで、安倍政権のお気に入りとされており、安倍政権として、何としても黒川氏を検事総長にしたい、ということで、令和2年2月に定年を迎える黒川氏の定年を延長してまで、黒川氏を検事総長にする、ということのようである。


(3)検事は、検事総長の定年のみは65歳で、その他は63歳なので、黒川氏はこの2月に63歳の定年を迎えるはずのところ、半年、定年が延びて、その間に検事総長になれば、さらに2年間、しかも検事総長という、検事のトップにのぼりつめることができるのである。


(4)制度を変えて、定年の延長までして、自らを検事総長にまでしてくれた、大恩のある安倍政権に不都合な検察行政、つまり、どの政治家を起訴するかしないか、どの官僚を起訴するかしないか、など、安倍政権に不利なことはしない、つまり安倍政権の思うままの起訴、不起訴がなされてしまうのではないか、ということで、国民の検察に対する、刑事裁判に対する信頼はまさに地に堕ちるというべきである。


(5)そもそも公務員一般と違って、検察官については検察官法で、特別に、前記の、検事総長65歳、その他の検事63歳などと定年が定められており、公務員法による定年延長の制度は適用できない、というのがこれまでの政府の見解であった。

 この見解を、今回、特別に変えるにあたり、法務省が見解を変えたということだが、その決済文書が作られなかった。あとから作ったから作成年月日の記載がない、という問題まで起こっている。これは虚偽公文書作成罪を構成するかどうかは別として、非常におかしなことが行われているということは明らかだ、ということになる。こんな手続を国民が信頼できるはずがないのである。


(6)またこれは、黒川氏が安倍政権の利益に反する起訴、不起訴をしないのではないか、という疑念を持たれる、というだけでは済まない問題がある。なぜなら、稲田検事総長をはじめ、検察全体が、安倍政権の検察人事の介入に屈した、ということになるからである。今後、各ポジションで、出世のことを少しでも考える検察官は、時の政権に不利になるような起訴、不起訴、捜査はできなくなる。少なくとも躊躇してしまう。

 たとえば、東京地検特捜部長になった検事は、有力政治家を起訴する等、頑張りすぎると出世に差し支える。あるいは、自分が頑張ると、上司たる、東京地検検事正、東京高検検事長などが出世できなくなる。検事総長になるはずの人がなれなくなる、などと考えると、本来行うべき起訴等が行えなくなる。


(7)また、仮に、正当な起訴、不起訴を行っても、ひたとび国民の信頼を失ってしまえば、時の政権の意向を忖度してもっと重要な人物の起訴は控えたのではないか、あるいは、次の首相候補の芽をつむための政略起訴だったのではないか、などと疑惑をかけようと思えばいくらでもかけられる。


 これは、現在の検察が、田中角栄前首相でも起訴した検察なのだから、今回、起訴しなかったのは、起訴すべき材料が無かったからに違いない、として国民から一定の信頼を受けるのとは真逆である。何をやっても、弱腰でも強腰でも、うがった見方をされてしまう。


 何をやっても信頼してもらえないから、たとえ元首相を起訴したとしても、1回だけでは信頼を回復できないことになる。よって、向こう100年間でも、国民の信頼回復を待つ必要が生じてくるのである。


(8)検察が国民の信頼を失って、何をやってもやらなくても、国民から疑惑の目で見られる検察になるのか、今がまさに正念場である。

 稲田検事総長は、黒川氏が検事総長に就任するようなことのないように、黒川氏が退職するまで、検事総長をやめない(定年はまだ先であるから)、国民の信頼を失って100年間、信頼を回復できなくなるかどうか、今がまさに検察の正念場であると考える。

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