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ギリシャ総選挙の結果次第でユーロ圏離脱、しかしそれは経済破綻を意味する。 [経済]

(1) ギリシャで新大統領の選出失敗を受けて2014年12月31日に議会が解散され、1月25日に総選挙が行われるが、緊縮財政に反対する野党・急進左派連合が支持率でリードし、同党首は、国際協調融資を受けるための交換条件だった財政改革を覆し、債務削減に向けて再交渉する考えを表明しているとのことである。

 これに対してドイツのメルケル首相は「緊縮財政を放棄して債務を返済しなかった場合、ギリシャのユーロ圏離脱はほぼ不可避」と判断しているようである。

(2) しかし、ヨーロッパですでにユーロを使っている国で、ユーロ圏を離脱する、ユーロを使わなくなる、などということが可能だとは思えない。

 ギリシャ政府がどんなに頑張ってドラクマに戻すといっても、国民はユーロを使い続けるのではないか。ギリシャにはユーロ圏からの観光客も多く、ギリシャ国内でユーロの使用を禁止するわけにはいかない。それに合わせてギリシャ人もユーロを使う。

 ギリシャ政府から受け取る新ドラクマは歓迎されない。みな、ユーロの方を欲しがるに違いない。ちょっと遠出をすればギリシャ国民もユーロで買い物ができる。また、輸入業者は国外へ行ってユーロで商品を調達してくる。

(3) そんな中で、財政不安のギリシャの通貨など持ちたいと思うギリシャ国民などいるのだろうか。

 結局、公務員の給料や公共事業その他、政府からの支払いのみ、新ドラクマで行われるのだろう。しかし、ユーロの方を希望する国民のせいで、新ドラクマを売ってユーロを買うギリシャ国民の行動により、新ドラクマの対ユーロレートはどんどん下がっていくだろう。

 その結果、新ドラクマは、下落が下落を呼び、収拾がつかなくなるのではないか。

(4) そうなっても、EU諸国は二度とギリシャを助けてくれない。

 ギリシャにはEUとの約束の財政改革を拒否することはできる。しかしそれではユーロ圏離脱から、ギリシャの経済が破綻することを意味する。ギリシャ国民が賢明な選択を行うことを期待する。


原油安の原因、原油価格は投機筋によって作られていることを認識しておくべきだ。 [経済]

(1) 原油安が世界経済に大きな影響を与えている。原油価格といえば最近は1バレルが100ドル程度という感覚があるが、2014年の年末にかけて、70ドルを割り込んで60ドル台を付けるに至っている。

 原油価格が40%も下落するのは、過去30年間で、1986年、97年~98年の2回しかなく、世界経済としては、原油消費国にとって大きな景気浮揚要因であるが、産油国の経済にとっては大打撃で、特にロシアのダメージが大きく、ルーブルが暴落するなど、原油安がむしろ世界経済に悪影響を与えている旨が報道されている。

(2) この原油安の原因について、北米の、シェールガス・オイルの開発や先進各国の金融緩和、特に米国FRBの量的金融緩和の縮小・終了が一番の原因である、などと言われている。

  その他、2014年12月23日号のエコノミスト誌には、原油価格について二つの記事がでている。富国生命の市岡繁男氏の「米量的緩和縮小で揺らぐ原油市場」という記事と、JPモルガン証券の足立正道氏の、「原油安と金融緩和は成長を加速 世界経済の懸念は米国の金利上昇」という二つの記事などを掲載されている。

 特に後者では、原油価格下落の原因について、新興諸国経済の需要の弱さが40%、先進国の需要の弱さで5%を説明できるが、残り55%は供給サイドの要因であるなどと分析している。

 しかし、そもそも原油価格は、投機筋による「仕手戦」により決まるもので、経済的要因から説明しようとするのは間違いである、ということを認識しておくべきである。

(3) 原油価格は2008年には、147ドルなどという価格をつけたかと思うと、1年以内に70ドル程度に下がったりと、経済とは特に関係なく、いわば投機筋の「仕手戦」の結果、そのような乱高下が起こっているものである。世界の原油価格は、先物市場で決まるのであるが、よく「尻尾を動かして頭の位置を決める」という逆転現象が起こっている、などと言われている。

 これは、簡単に言うと、先物市場とは、将来の現物価格を予想して、あくまで「帳面上の売買」を行い、買った値段と売った値段の差額から計算される損益を、参加者の間でやりとりする、いわば博打場なのである。原油不足が予想されて投機筋の資金が流入して先物市場で原油価格が暴騰する、などと説明されるのであるが、先物市場への資金の流入とは、「博打場」への参加者の増加に過ぎないのであるから、原油先物市場に、価格予想と無関係に大量の「買い注文」の「資金」が流入し、その結果、原油先物価格が上昇する、などというのは、一種の価格操作、市場破壊、まさに「仕手戦」だという認識を持つべきなのである。
 http://kentaro-0013.blog.so-net.ne.jp/2008-10-21-1

(4) 昨年来の原油安は、それまでの異常に、不当に高い原油価格が是正されたものとして、現在の60ドルくらいまでなら、特に原油消費国としては「問題ない」とする姿勢も是認できるところであるが、これ以上下がるようなら、世界として問題にするべきである。ロシアを始めとする産油国の経済に与える影響が大きく、それは世界経済にも大きな悪影響を与える。

 原油価格は、需要や供給の関係からではなく、前記のとおり、要するに、投機筋による「仕手戦」により決まっているのである。その価格によって世界経済が振り回されるのはおかしい。

 現在の原油安も、また、今後、すぐまた生じるであろう原油高も、相場筋による「仕手戦」で決まるのある。世界経済に悪影響を与えるような乱高下は、世界でもって是正すべきである。簡単なことである。世界で、原油の売買価格を、先物市場の値段に従わなければよいだけのことである。

 原油価格は、投機筋による「仕手戦」により決まるもので、経済的要因から説明しようとするのは間違いである、ということを認識しておかなければならない。


ギリシャだけが悪いのか。漫然と大量の国債を買い続けた欧州各国の銀行の責任を問え。 [経済]

(1) ギリシャ国債のデフォルト問題に象徴されるユーロ危機で、ギリシャのような放漫財政の国にユーロ入りを認めたのが間違いだった、などという論調の意見が見られるが、放漫財政の国の低利の国債を買い続け、ここまで放漫財政を許した、欧州を中心とする世界中の銀行の責任が問われるべきだと考える。

(2) ギリシャその他の国の財政が、ここまで破綻に瀕するに至って、突然、国債金利が跳ね上がるのではなく、日頃から債務者たる各国の返済能力をチェックし、放漫財政を続ける国の国債は徐々に金利が上がり、これ以上の借金ができないようにしていく市場原理が働かなかったことに問題がある、つまり、放漫財政の国の低利の国債でも、漫然と買い続けた欧州各国の銀行に、重大な責任がある。

(3) ドイツの銀行も例外ではないのであって、ドイツの銀行を管理、監督できなかったドイツ政府にも責任があるのであって、何としてもギリシャを破綻させない政策に対して、必要な財政負担を行うべきは当然である。

(4) 今後、欧州各国は、国内金融機関と国際金融機関に分けて、国際金融機関についての金融政策は、監督は各国の手を離れて、統一して行うようにするしか、今後、同様の問題を防ぐ手だてはないのは明らかだと考える。すでに統一通貨ユーロを擁し、金利政策は各国の手を離れている。国際金融機関の管理を、各国が独自にできると考える方がおかしいというべきである。


TPPに参加せずには、人口大量減少時代を迎える日本は、もはや生き残る道はない。 [経済]

(1) 2011年から、団塊の世代が65歳の停年を迎え始める。日本は今後、有史以来初めての、労働人口大量減少時代、そして、人口大量減少時代を迎えることになる。

(2) このような、人口大量減少社会においては、過疎の町でどんなに青年団が頑張っても景気がよくならないのと同じように、今後、内需の不振から、どんなに政府が頑張っても景気はよくならない。あるいは、派遣社員の導入を始めとする、労働者の収入減によってでしか企業は業績を維持できず、日本社会、日本経済全体が縮小していくことになる。

(3) このような中で、大量の移民を導入して人口を増やす、減らさないことが、この問題に対する最大の処方箋であるが、これまで、いわゆる「単一民族社会」の心地よさに慣れた日本人には、それも受け入れがたいものと思われる。

(4) それであれば、生産も消費も、日本国内だけではなく、周辺諸国も含めた経済圏を構築して、何とか、人口大量減少社会を乗り切っていくしかないのではないかと思われる。

 それには、TPP、そういうものが元々無いならともかく、現実に成立して、日本以外の多くの国がそこに参加して原則、無関税で円滑な貿易をして日本がそこから排除されるなどということがあれば、国内需要が大幅に減少する中で貿易も減少し、日本経済が立ちゆかなくなることは明らかだと思われる。

(5) TPPに参加した場合の弊害がどの程度あるかという問題はともかく、参加しない場合の弊害が膨大なものとなることから、弊害の議論の如何にかかわらず、日本にはTPPに参加する、という選択肢しか存在しないものと考える。


ギリシャからイタリアへ。通貨危機が日本に及び、手遅れになる前に、早く増税せよ。 [経済]

(1) ギリシャ危機は何とか収束しそうだが、今度はイタリア危機が問題になっている。イタリアはIMFの監視下に入ることで国際的信用を何とか維持しそうだが、ベルルスコーニ首相は、これまでの放漫財政の責任を問われて、いよいよ退陣を迫られそうな状況になっている。

(2) ギリシャ、イタリアに続いて、対GDP比で圧倒的に大きな借金を背負っている日本が、次に、いつ問題になってもおかしくない。

 但し、国債が暴落する等で問題になれば、日銀は直ちに暴落した国債を買い集めて償還すればよい、というのは、すでにこのブログでも提起しているところである。http://kentaro-0013.blog.so-net.ne.jp/2011-08-06

(3) 但し、国債が暴落して日銀が買い集めて通貨発行高が増え、あるいは、そのようなことがあってもなくても、ともかく、円が暴落して輸入価格が暴騰し、物価が暴騰してハイパーインフレになる、などということが起こらないとも限らない。

 すでに国内には大量の円が流通しており、原油価格の暴騰などをきっかけに、いつどこで、インフレの火が噴いてもおかしくない状態になっていると指摘する向きもある。

(4) 景気の回復を待って増税する、などということを言っていると、いつまで経っても増税などできない。景気を腰折れさせない、という意味では、巨大な復興需要がすでに形成されている。

 世界の風向きが変わり、日本売りの大波が襲ってからでは対処の手段はない。手遅れになる前に、野田首相は、直ちに国会で、増税を宣言して、消費税増税を実行すべきである。


米国債格下げ、日本国債が暴落したら日銀はその機会にいくらでも買い集めると宣言すれば暴落しない。但し、限界をわきまえよ。 [経済]

(1) 8月5日、スタンダード&プアーズが米国債の格付を最上級のトリプルAからダブルAプラスに格下げした。

 日本の金融機関が日本国債を大量に保有しているように、米国の金融機関は米国債を大量に保有している。

(2) 格付機関の信頼性自体が乏しく、大した影響はないとの意見も多々あるが、金融機関の中にはトリプルAの債券を持つ割合を決めているところがあって、別のトリプルAの債券を買うために、ダブルAになった米国債を大量に売りに出すところがあるのではないか、などと危惧される向きもある。

(3) その結果、米国債が暴落し、もっと状況の悪い日本国債も、つられて暴落する可能性もあると考えられる。

 また、米国債を売って出たドルが行き場を失って結局円を買う、などということになると超円高も進み、日本経済は大変なショックを受ける。

(4) 日本国債がもし暴落したならば、日銀はその機会に日本国債を大量に買って買い支え、償却に問題があるならいくらでも持っておけばよい。日銀が国債で受け取った金利を国庫に上納すれば財政上も助かるからよかったと思おう。

 そんなことを続けると、通貨発行高が増えてインフレ要素にはなる。しかし、日銀が事実上の無利子でいくらでも貸し出しを増やしているのにデフレが止まらない日本経済には、ほとんど影響は無いだろうし、デフレに悩む日本経済にとって、多少のインフレは歓迎だ、ということにしよう。

 日本国債暴落の際は、日銀が買い集めればよい。その計画と準備をしておくべきである。逆に、そうすれば日本国債は暴落しないはずである。

(5) 但し、ものごとにはすべて、限度というものがある。円は無尽蔵に日銀がお札を刷って増やし、価値が減じていく、その価値の減り方が他の通貨とは規模が根本的に違う、と世界が認識しだした時、大幅な円安が一気に進み、日本経済に大打撃を与えることになるだろう。他の通貨とは、ドルとユーロである。双方が引き締めに入ったようなとき、円だけは、いくら流通量を増やしても価値を減じない、などということはあり得ないのだから、なるべく早く、歳出、歳入の均衡を達成しなければ、あとで嘆いても遅いことは明らかというべきである。


トヨタ車に欠陥なし、日本の物つくりの技術と精神の高さを誇りに思う。 [経済]

(1) 2月8日、約800万台のリコールにつながったトヨタ車の意図しない急加速問題を調査していた米国運輸省が、トヨタ車の電子系統に欠陥が無いことが判ったと発表した。昨年来、プリウスを始めとするトヨタ車の欠陥が米国を中心として世界中で問題になったが、その多くが、「濡れ衣」だったことが明らかになったということである。

(2) トヨタ車をはじめとする日本車は、他のどの国のメーカーよりも、まじめな労働者と技術者が、高い技術で、誠心誠意、ユーザーのために車を作っていると、日本人は信じていたと思う。それが、物作りニッポンの真価であり、誇りでもあった。

(3) 一連の米国によるトヨタ車の調査は、その、日本人の誇りを傷付けていたのであるが、この度、晴れて、日本の物作りの技術と誠意が間違ってなかったと認められたようで、誇らしい限りである。

 これからも、トヨタをはじめ日本のメーカーは、世界の人々に信頼され、支持される製品作りに邁進してもらいたい。


日本国債の格下げ、抜本的財政再建を急がないと、手遅れになる。 [経済]

(1) 1月27日、S&Pが日本国債の格付を、AAダブルに引き下げた。菅内閣の財政再建に戦略がなく、見通しが立たない、ということのようである。確かに、国会の情勢を考えると、菅内閣の進めようとしている財政再建など実現すべくもないことは明らかだろう。

 また、今回、菅内閣が増税政策を打ち出して、国民の支持を得られずに退陣するようなことがあると、次の内閣はますます増税政策は取りにくくなる。

(2) また、今回の格下げで国債の金利が上がることも考えられる。そうすると、ますます、莫大な借金の返済が困難になり、また格下げが起こり、金利がさらに上がる、という悪循環になることも懸念される。

 S&Pの発表を受けて、27日は円安になった。これも、経済にとっては一見、よさそうだが、これも、過度の円安が進むと、まともに原材料の輸入もできなくなって、日本経済が破綻へ向かうことになる。

 今後、仮に、国債を大量に保有している生保などが、S&Pの発表で国債価格が下がったことで狼狽し、国債を大量に売りに出る、などということはよもや無いとは思われるが、何かのきっかけで「売り」が「売り」を呼ぶ、などということが無いとも限らない。

 その場合は、何としても「売り」を思いとどまるよう、生保などを「行政指導」すべきである。

(3) そんなことよりも何よりも、政府は、野党にも受け入れられる、抜本的かつ実効的な財政再建策を、速やかに打ち出すべきである。あるいは、まずは、政府として、財政再建に向かう具体的方策を示し、それを断固として実行する旨の宣言を行うべきである。

 そうでなければ、日本の財政状況は、いつ、手遅れになってもおかしくない、という、危機的状況にあることを肝に銘じるべきである。


「母親のおにぎりのように、心をこめてトヨタは自動車をつくる」、との社長の言葉、本当ならば感動的だ。 [経済]

(1) 1月11日、トヨタ自動車の豊田章男社長がデトロイトで、昨年のリコール騒動の反省から、コンビニおにぎりが安全であるようにトヨタの車も安全だとした上で、「母親の作るおにぎりのように、わたしたちは一台一台の車を心をこめて作りたい」と続け、顧客に安心感を与えることが目標だと語ったとのことである。

(2) 確かに、昨年のプリウスのリコール騒動があるまで、トヨタの車は世界一安全で安心だ、という信頼があったように思われる。特に車は自分にも相手にも、命にかかわる機械であるだけに、信頼は何よりも大事である。トヨタはこれから、その信頼をまさに命懸けで取り戻していかなければならない。

 あるいは、車にかかわらず、物づくりにかかわる人間として、安全である以上に、心をこめて1台、1台の車をつくる、ということが本当に行われるならば、それは感動的ですらある。

(3) トヨタ車だけは、月曜日につくられた車でも、バカンスシーズンにつくられた車でも、絶対に安全で安心できる、そのような信頼を勝ち得れば、少々他社、他国の製品が安かろうが、トヨタ車は世界で勝ち残っていくことだろう。

 あるいは、日本の製造業が世界で生き残っていく秘訣は、案外、そのあたりにあるのかもしれない。

(4) トヨタが、母親のおにぎりのように自動車をつくる、ということを本当に実行してくれることを、心から期待したいと思う。


通貨戦争は、世界中をインフレに導いてしまう。 [経済]

(1) 国際通貨基金の専務理事が、8日から米ワシントンD.C.でIMF・世界銀行年次総会が開催されるのを前に、「通貨戦争の脅威を極めて深刻にとらえている」と述べたとのことである。

 これは、日本がドルー円相場に介入し、円高を防ごうとしたこと等を念頭に、各国が為替下げ競争を行うことを「通貨戦争」と表現し、為替に対する不当な介入を戒めようとするものである。

(2) しかし、まず、為替は、投機筋等の投機により、不当に歪められることがある。本来、各国の物価等の動向により為替は変動するのだが、投機筋の動きによる不当な為替変動には対抗して為替介入が行えるはずだが、何が投機筋による不当な為替水準かよく判らないから、「通貨戦争」を防ぐと、不当な円高等への対応でも、「通貨戦争」であるとして各国の批判により、不可能となってしまう。

(3) そして、最終的には、為替介入ができない以上、各国としては通貨供給量を増やし、インフレ政策を取ることになる。その結果、世界中がインフレの危険に直面することになる。デフレの長い日本のような国ばかりではない。

 今後世界は、各国のインフレを警戒していく必要があるのである。