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安倍政権は長くて向こう5年間、またぞろ日本をバブルに酔わせ、その後、国民は失われた30年の現実を思い知らされる。 [アベノミクス批判]

(1) 安倍新政権誕生以来、高い支持率が続き、政権発足後3ヶ月を経ても、65%などという支持率を維持している。

 これはみな、為替が円安に大きく動き、日経平均が1万2500円程度と、野田前首相の解散発言以来、4000円以上も上げていることで、安倍政権が景気をよくしてくれるに違いない、いや現によくしていると思っている、という「アベノミクス」効果であると考えられる。

(2) そもそも前回の安倍政権以降、誰が何をやっても日本の景気はよくならなかった。20年に及ぶデフレも景気の停滞も、すべての原因は今の日本が、世界史に例を見ないほど激しい労働人口減少状況にあり、どうしようもないものである。これを打ち破るには、アメリカのシェールガス革命のようなことが日本でも起こったり、画期的な科学、医学の発明などが起こって、大金を出しても誰もが買いたくなるようなものができるくらいしか、打開策は無いと考えられるものである。

(3) ところが安倍氏は、これまでと全く違う方法で、いくらでも紙幣を刷るから必ずデフレを脱却する、などとなりふり構わず宣言し、「見事に」口先だけでバブルを実現させた。このバブルを簡単には弾けさせないために、本来、バブルの発生にブレーキをかける役割を担っている日銀に、ブレーキどころかバブルのアクセルを踏ませるという禁じ手を取り、バブルの形成、拡大、破裂への道をまっしぐらに進むことになってしまった。

(4) 本ブログでは、かねてから、自民党、民主党、誰がやっても景気が回復しない限り、国民は次々と新しい政権を試し、その度に失敗して、ついには橋下政権を作り、また、和製ヒットラー政権も作ることになる、ということを警告してきたが、自民党が、国民を欺くバブル政策で政権を取り戻すとは全く予想外であった。

 しかし、今の日本は日銀という、バブルと物価上昇の見張り番という、現代社会に不可欠な安全装置を欠いたまま、バブルの形成、崩壊という5年間と、その後、ちょうど今の半年前の状態に戻り、今よりもずっと拡大した財政赤字のもと、財政破綻目前の、失われた30年に向かってばく進する結果になることは明らかだと考える。


日銀総裁が「脱デフレのために何でもやる」では困る。物価の番人として、決してできないことがあるはずだ。 [アベノミクス批判]

(1) 新しい日銀総裁に、黒田東彦氏が就任することが事実上決まった。脱デフレのために何でもやる、などと日銀総裁候補者が国会で所信表明するのは極めて不適切である。

(2) 黒田氏はまた、この15年間、日銀が物価の番人としての職責を果たしてこなかったなどとも言っているが、不当である。

 この15年間、日本の物価は概ね、0.3%の下落あたり、せいぜい1%の下落状態で安定してきた。物価は安定しているのであり、日銀は、立派に、物価の番人としての職責を果たしてきたものである。

 黒田氏は、できるだけ早く、どんな手段を用いても、2年ないしそれ以内に、「2%」の物価上昇を実現する、と言っているのである。そちらの方が物価安定に反するもので、黒田氏こそ、日銀の物価の番人としての使命を放棄することを言明しているもので、問題である。

(3) 黒田氏は日銀総裁就任にあたり「デフレファイター」を自認し、デフレ克服を公約にする、とまで言っているが、まともな手段ではできないことを公約にしているもので、二重の意味で不当である。

 日銀はインフレファイターとして、インフレを止める手段は持ち合わせているが、デフレを正当に止める手段は持ち合わせていないhttp://kentaro-0013.blog.so-net.ne.jp/2013-01-23。そもそも0.3%のデフレを止めようとして、2%のインフレにする、などという目標自体が、政府のそれとしては許されても、物価の番人としての日銀には許されないはずである。

(4) 黒田氏には、元財務官として、常識的な金融政策の舵取りを期待したが、それは叶わないようである。このままでは超インフレにはならないとしても、土地と株のバブルが発生し、バブルだからまたすぐに弾けて、なお一層、実体経済に悪影響を与える。数年後が心配だ。