SSブログ

猪瀬都知事に渡った徳洲会からの5000万円、世を忍ぶ金だったというだけで都知事辞任に値する。 [政治]

(1) 徳州会の徳田虎雄氏から猪瀬都知事に5000万円の資金が提供されていた問題について、11月22日、猪瀬都知事が釈明に追われた状況がテレビで報道された。猪瀬都知事は選挙とは関係のない、個人的な借金だから問題はないとの主張を行っているが、明らかに不当で、都知事辞任に値すると考える。

(2) 猪瀬都知事は、選挙資金とは無関係の、個人的な借金だったとして、政治資金規正法上の問題はないと主張しているが、言い訳になっていない。 

 徳田虎雄氏の徳洲会病院は都下にいくつもの病院を抱えており、都知事の権限の及ぶ範囲で重大な利害関係を有している。その、都知事に対して見返りを期待せずに5000万円もの資金提供をするはずがない、というのは極めて自然な見方である。

(3) 立証できるかどうかは全く別の問題として、徳田氏は都知事候補である猪瀬氏に対して、請託を受けて、「不正の報酬としての利益」を供与したものとして、(事前)贈賄罪が、猪瀬氏に対しては(事前)収賄罪が問われることになると考える。

 猪瀬都知事は、単なる個人的な借金だと主張し、政治資金規正法上の問題は生じないと主張している。確かに政治資金規制法上の問題は生じないといても、都知事の職務に関する、「不正の報酬としての利益」を得た疑いがあり、収賄罪の問題になるのである。

(4) 今回の資金提供に関してはいくつもの疑惑がある。初対面の猪瀬氏に対して、どうして、無利子、無担保、無期限で5000万円もの大金を貸すことになるのか。無利子、無担保、無期限の貸し付けは、贈与とどこが違うのか。今回、徳州会の徳田毅議員の選挙違反事件が問題になって初めて猪瀬氏は5000万円を返したようだが、そのような問題が起こらなければ、借りたままになっていたのではないのか、それは贈与そのものであろう。

 あるいは、やましいところがないなら、どうして、5000万円もの大金を、銀行振り込みではなく、現金で渡すのか。これは証拠が残らないようにする、という動機以外に、何があるというのか。また、5000万円もの現金を、どうして、現金のまま保管するのか。その後、送金等をするにも、銀行預金にどうしてしないのか、やましい金だから証拠が残らないようにする、という以外に、5000万円もの大金を現金のまま保管する理由が考えられないことは子供でもわかることである。

(5) 猪瀬都知事は、その都知事としての権限の及ぶ徳洲会病院の理事長から5000万円もの資金提供を受けた。その方法は、現金による受領で猪瀬氏はそれを現金のまま保管し、その後、証拠が残らないようにしていた。

 これは、理屈や法的責任はともかく、何らかのやましい動機があったとしか考えられないものである。場合によっては収賄罪をも構成する、やましい金銭の授受があり、それについて、まともな言い訳ができないのであるから、猪瀬氏は都知事として都民の信頼を得られない状態になったものである。

 猪瀬知事の記者会見で、記者には、「5000万円はやましい金だったんですね」「そうでないなら、どうして現金で受け取り、銀行へ入れずに、現金で保管していたのですか」と問えば、猪瀬氏は返答に窮するはずである。この5000万円は明らかにやましい金だったのである。

(6) そのことだけで猪瀬氏は都知事失格である。猪瀬氏は、直ちに都知事を辞任すべきであると考える。


山本太郎議員の天皇への手紙問題、議員辞職を求めるのは時代錯誤である。 [憲法問題]

(1) 世耕弘成官房副長官が、山本太郎参院議員が10月31日の秋の園遊会で天皇に手紙を渡したことを批判し、「自ら出処進退を明らかにするべきだ」と自発的な議員辞職を求めたとのことである。

(2) この問題は、山本議員が、参議院議員としての自らの政治的立場と、天皇の権能や憲法についての自らの無知を露呈するもので、非常に恥ずかしいものであることはすでに指摘したとおりである。

 http://kentaro-0013.blog.so-net.ne.jp/2013-11-01

(3) しかし、「天皇の政治利用」は全くもって「不能犯」であって、山本議員の今回の行動により天皇の政治的中立性が侵された、ないし侵される危機に瀕したなどということでは決してない。

 あるいは、一連の事件は山本議員の全くの無知から来たもので、天皇の「政治的中立性」をねじ曲げようなどという意図は全く無かったことは明らかであろう。

(4) 議員辞職は不可避だ、とする意見は、結局、明治憲法下の天皇の感覚で、「不敬」という観点から、そう言っているものと思われる。しかし、現憲法下において天皇への不敬は、「手紙を渡す」といったことで問題になるようなものではないはずである。また、国民の代表たる参議院議員の地位は、無知だということでは奪ってはならないものである。

 この問題の冷静かつ正確な議論を期待する。


山本太郎議員も下村文相も、天皇の憲法上の地位を知らないのか。 [憲法問題]

(1) 山本太郎参院議員が、10月31日の園遊会で、天皇に対して原発問題に関する手紙を、直接手渡したことが問題になっている。

 これは、いわゆる「直訴」だと思われるが、一般国民ならともかく、山本氏は参院議員である。政治権力は天皇よりも大きいのである。「天皇陛下にお知らせして、陛下のお力でこの問題を解決してもらおう」、などと思う方がおかしい。自ら、議員として、国会その他で、実現に向けて行動すべき問題である。

 あるいは、天皇にこの問題で山本議員の都合によいような発言なり行動をしてもらい、原発反対運動を進めようと思ったなどというならば、憲法上、許されない天皇の政治利用ということになるし、そもそも、人々の声と力で原子力行政を動かそうとしている原発反対派の風上にもおけない、民主主義の制度を否定する、決して許せない行動だということになる。

(2) 一方、山本議員の行動について下村文科相は、「これを認めれば、いろんな行事で天皇陛下に手紙を渡すことを認めることになる」と指摘したとのことである。

 文相は、明治時代の足尾銅山鉱毒事件を引き合いに出しながら「田中正造が(明治天皇に)直訴して大問題になったことに匹敵するようなこと。こういうことを安易に看過するようなことがあってはならない。非常に重いことだ」と述べたとのことである。

 しかし、まさに明治憲法下では天皇は不可侵の神的国家元首であり、民の声を汲み上げるシステムは憲法・法律で定まっているのに、そのプロセスを無視して直接天皇に要請に及ぶなどというのは不敬、不敬罪そのもので、許されない行動だったということだろう。

 いわば、絶対的権力を持っているがゆえに、田中正造の行為は許されないものだったのである。

(3) しかし、現在の憲法下の天皇は明治憲法下とは全く異なる。議員が直接、天皇に要望書を渡しても不敬などというものでもない。政治権力を一切、持たない、政治的には完全に中立でなければならない天皇を、自らの政治運動に寄与すべく利用しようとしたことが不当なのである。

 あるいは、現在の政府や宮内庁の管理のもと、あのような山本議員の行動で天皇の行動が歪められるわけがない、という信頼は国民からも得られていると思われる。

(4) 問題なのは山本議員の考え方であり、天皇や皇室に悪影響が及ぶ、というものでは決してないはずである。

 山本議員も下村文相も、現在の天皇の憲法上の地位を正確に理解してほしい。天皇は一切の政治権力を持たないし、政治に特定の影響を与えてはいけないのである。「天皇は神聖ゆえに直訴してはならない、侵してはならない、不敬だ」、などというものでは決してない。天皇は、民主的コントロールが及ばない憲法上の存在なのであるから、天皇に政治力を発揮させようなどという、民主主義を無視した行動を取ってはならないのである。


この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。