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報道の本質を、千葉英国人女性死体遺棄事件・整形容疑者逮捕騒動から考える。 [報道・言論]

(1) 千葉の英国人女性死体遺棄事件の容疑者が、整形を繰り返していたところ、大阪で逮捕された件で、またぞろ報道が過熱している。

 また、殺人容疑では逮捕状すら出ていないのに、あたかも、殺したに違いない、という報道姿勢も大問題である。

 大阪で逮捕された容疑者が新幹線で東京へ押送される場面も記者が大勢集まって大騒動になった。NHKまで、東京駅から千葉・行徳警察署へ容疑者が車で送られる状況を上空からヘリコプターで中継していた。また、TBSのディレクターが押送される容疑者の様子を撮影しようと押送車に押しかける過程で公務執行妨害で逮捕される等、まさにこの国がひっくり返りそうな大騒動である。

(2) しかし、あの容疑者が逮捕された事実は国民の重大かつ正当な関心事であるが、逮捕後、どのような様子で押送されるかについて、事件としての事実の重要性が根本的に異なることは明らかであろう。

(3) あの容疑者の一挙手一投足等、多くの国民が大きな関心を持っていることは事実である。

 しかしそれは、有名タレント同士のの結婚式の様子はどんなか、というのと同じ種類のものである。その内容を知る権利が国民に無いとは言わないが、政治家の言論の内容や犯罪事実の有無についての知る権利と、その重要性が異なることも明らかであろう。

(4) そこで、知る権利を二つに分けて、参政権の前提となるような参政権的知る権利と、好奇心を満たすための、幸福追求権的知る権利を峻別すべきであると考える。

 そして、どのような犯罪が起こったか、犯罪者が逮捕されたか、といった事実は参政権的知る権利であるが(犯罪の有無や容疑者逮捕の有無を知ることは、犯罪政策についての国民の判断材料となるものである)、逮捕された者が押送される姿は、好奇心の対象ではあっても、参政権的知る権利ではなく、幸福追求権的知る権利でしかないことは明らかであろう。

 前者のためには公務員等一定範囲の者のプライバシーも保護されない場合も多々あるのに対して、後者の場合にはそのようなこともない。

(5) 芸能記者がタレントに群がって大騒ぎになるのはご愛敬だとして、報道記者が逮捕者押送中の警官に群がって大騒動になるのは、警察の捜査に対する妨害行為であり、参政権的知る権利の問題では無い以上、もっと強く規制されるべきなのである。

(6) 今、報道機関のなすべきことは、この国で、真実を報道すべき報道機関が、死体遺棄でしか逮捕されていない人間を殺人犯人だと決めつけている一連の報道の問題点を報道することである。この国の報道機関が、芸能記者がタレントに群がるのと同じレベルでの行動しかできないことの問題点を報道することである。

 この事件についての報道の現状は、現在のマスコミの重大な問題点を浮き彫りにしていると考える。


光市母子殺人事件の被告の実名本出版問題・筆者が事前に被告の弁護士に確認すべきだった [報道・言論]

(1) 光市母子殺人事件で、被告人の元少年の実名を出しての出版に対して、10月5日、元少年側が出版禁止の仮処分を申し立てた。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091006-00000074-jij-soci 

(2) この問題について元少年側、筆者側がそれぞれ記者会見を行い、元少年側は少年法に反する違法行為であるとし、筆者の増田美智子氏側は、承諾を得ているものにつき、出版を差し止めるのは報道の自由への侵害であると反論している。

(3) しかし、承諾を得ていない場合は少年法違反であることは明らかであるし、いったん真摯に承諾したのに、今になって承諾を得ていない、として出版を差し止めるのは出版の自由に対する侵害となるということであろう。

 元少年といえども、実名が世間に知れ渡る不利益を甘受してでも、弁護人等とも相談した上の真摯な納得のもと、実名で、自らの正当性、たとえば殺人の故意は無かったとか、死刑は重すぎる、などと主張することは、特に少年法の趣旨に反するものではないと考える。

(4) 思うに、元少年は、いったんは増田氏に対して、実名での出版を認めたものの、出版の事実を知った元少年の弁護人から問題の重大性を指摘されて、誤解の上での承諾だったと主張しているものと思われる。

 しかし増田氏が、この事件と裁判について真剣に取材したならば、この、元少年の判断力の低さ、軽率な行動、弁護士から手取り足取り指導されてやっとまともな行動ができるさまは、十分判ったはずである。

(5) 増田氏や、出版社の「インシデンツ」がまともなジャーナリストなら、元少年について実名で事件について出版されるなどという重大事なのだから、出版に際しては元少年に対して、弁護士さんとも相談して、諾否を回答してくれ、何なら自分からも弁護士に説明する、と言うはずである。

 この筆者も出版社も、元少年が軽率に承諾しているのをいいことに、弁護士に隠れて出版してしまおうと思ったと解されてもしょうがないところである。

 本件では元少年の真摯な承諾は無いと言わざるを得ず、実名での出版は認められるべきではないと考える。


新型インフルエンザに冷静な報道と対応を。 [報道・言論]

(1) 新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)で日本中が大騒ぎだが、まだ、日本で患者が一人も発見されたわけではない。これまで問題になったものは、すべて、従来のインフルエンザだったものであり、これからも冷静な対応が望まれる。

 4月30日に、成田空港へ帰ってきた女性に新型インフルエンザの可能性があるとして、夕方からのニュースは再三、現場や関係各所から生中継をする等、とんでもない大騒ぎだったが、実際は、A香港型、つまり従来型のインフルエンザで、大騒ぎする必要のなかったものである。

(2) いつも、マスコミが大騒ぎするけれども、それほどの大事件ではなかった、ということがほとんどである。例を挙げれば、原子力施設の事故のニュースなど、今まさに周辺住民に重大な健康被害が起こっているかの報道がなされるが、現実には大した事故ではなかった、というものばかりである。

(3) そもそも、「今日は特に大ニュースはありません」と言ってニュース番組を始めれば、視聴者はニュース番組ではなく、ドラマにチャンネルを変えるか、テレビを消してしまう。そこで、ちょっとした事件を大事件だと言って報道して視聴者をテレビの前、自分のチャンネルに釘付けにし、大したことのない政治家の不祥事を、とんでもない事件だ、と言って大々的に報道して視聴率を稼ぐ、新聞をおもしろくするのがマスコミの本質である。

 このことは、江戸時代にかわら版売りが「大変だ、大変だ」と大声を上げてかわら版を売っていた頃から、変わりは無いものである。

(4) 我々は、そのようなマスコミの作戦に乗せられてはいけないのであるが、その巧妙な演出方法もあって、今度こそは本当に大事件かもしれないと思い、つい、テレビの前に座ってしまうのだが、そのこと自体は致し方ないところでもあると思われる。

 そこで、テレビに注目するのはやむを得ないとしても、現実の行動としては、くれぐれも軽挙妄動を慎み、連休に人混みに出るのはやめよう、などと、何の根拠もない「対策」を取って社会の活動を狂わせるようなことだけは避けたいものである。


ロッテ、「本拠地移転公式議事録問題」について、日経新聞は事実関係を明らかにせよ。 [報道・言論]

 4月25日の日本経済新聞で、プロ野球ロッテ球団の4月7日の幹部会で、ロッテ球団の最高首脳が、「ロッテのイメージが悪くなるならフランチャイズを千葉から変えようか」「バレンタイン監督がファン側に情報を流したことが想定できる」などと発言し、その旨が公式の議事録に掲載されているなどとして、ロッテ球団の対応を批判する記事が掲載されたが、ロッテ球団はその後、そのような議事は存在せず、議事録は偽造されたものであるとの見解を発表している。

 前記の議事や議事録が本当に存在するとすればロッテ球団は、ファンを無視したとんでもないことであり、また、そのような議事や議事録自体が存在しないとすれば、日経新聞による重大な虚報事件だということになる。

 日経新聞は、スポーツ欄の大きな記事の中で、「ロッテ『本拠地移転も』」「球団幹部、幹部会で発言」という見出しのもとで、これらを記事にしたのであるから、取材の経緯や、報道した議事録の真偽等につき徹底した追跡調査を行い、どの言い分が虚偽なのか、あるいは、「公式の議事録が存在する」旨が虚報なのか否か、詳しい事実関係と、自らの責任を速やかに明確にすべきである。


TBSは、「情報7daysニュースキャスター」の道路清掃二重行政やらせ報道で、責任者を厳正に処分せよ。 [報道・言論]

 (1) 4月11日放送・TBS系「情報7daysニュースキャスター」の、橋下大阪府知事も出演した、大阪府と国土交通省の二重行政を批判するコーナーで、事実と異なる部分があった、として、4月25日の番組中で訂正、謝罪した。

 国道と交差している大阪府道で、その交差点では大阪府の道路清掃車は、大阪府道でないからブラシを止めて清掃を中断するということを、大阪府と国の二重行政の弊害の象徴として放送したが、そのような事実はなく、番組で報道された映像は、業者の人に依頼してことさらに撮影したとのことである。

(2) 事実をねじまげて、不相当な行為が無いのに有るかのような映像を捏造し、その不相当な行為を批判する、などというのは、絶対にあってはならないことであるが、この日は大阪府の橋下知事も出演し、多くの根拠を示して二重行政を始めとする行政の無駄等について報告、批判していただけに視聴者の注目度も高く、極めて問題である。

 捏造映像、やらせ報道で批判された方の被害もさることながら、虚偽の事実を示されて、間違った認識を持ってしまった視聴者の被害はある意味でもっと甚大である。なぜなら、行政について間違った批判的意見を持つことになり、正しい投票行動を取れなくなってしまうからである。

(3) 今回は、関係者の抗議で発覚したのだと思われるが、それ以外に、発覚していない同種の不正がまだまだ存在するのではないかということにもなる。

 このようなやらせ報道は、「復活あるある大辞典」の納豆健康法や、近くは「バンキシャ」によるものがあるが、言うまでもなく、決してあってはならないものである。

(4) 今回の事実の捏造、やらせ報道は、健康法や事件報道ではなく、行政改革のあり方という世論の動向を左右するものであり、その影響は大きく、テレビ番組として決してあってはならないものである。

 司会者が説明、謝罪して済む問題ではない。TBSは、番組打ち切りや責任者の更迭を含めた、厳正な処分が必要であると考える。


奈良医師宅放火殺人事件の秘密漏洩罪被告事件では、国家の悪を暴く取材、報道とは違って、決して違法性は阻却されない。 [報道・言論]

(1)4月16日、奈良地裁で、医師宅放火殺人事件の容疑者である長男の精神鑑定を担当した医師が、調書を作家に見せて秘密漏洩罪に問われた事件で有罪判決があった。
 
 この裁判については、取材、報道の自由に対する侵害であるとして逮捕、起訴等が不当であるとの批判があるが、この医師が調書を作家に見せたことが秘密漏洩にあたることは明らかであるとともに、何ら正当性の無い、不当な行為であると考える。

(2)この事件については、外務省機密漏洩事件と対比して、共通の問題があると論じる向きがあるが、両者の違いを明確にすることこそ、報道、取材の自由の問題を正確に理解する近道である。

 つまり、国家は、往々にして国家悪を隠そうとする。隠されたままでは社会の進化、浄化はできないから、それを国民が知ることは極めて有益なことであり、各種法制度により隠そうとする国家に対して、隠そうとする目的自体が不当であるから、多少の違法行為を犯してでも、その悪を暴くことは違法性が阻却される、むしろ、極めて必要性の高い行為であると評価される場合がある。

(3)それに対して、個人のプライバシーは、何も国家が自らのために隠しているのではない。個人、市民のために隠しているのである。そして言うまでもなく、犯罪行為が行われた場合の被疑者等について、どの程度、情報を開示するかについては、国民の意思により立法で、国民自らの判断で決めることである。現行法上、特に少年については、その更生、成長に資するために、氏名をはじめ、そのプライバシーを守り、社会には公表しない旨、国民が合意した結果、少年法等による、少年のプライバシー保護がなされているものである。

 よって、国家が隠す国家悪に対しては、取材、報道の観点から違法性が阻却される場合が多々あるのに対して、特に少年のプライバシーに関しては、取材、報道の観点から違法性が阻却されることは無いのである(少年が逃走中で再犯を防止するため、などという極限的場合を除く)。

(4)少年に対して、そのような保護を続けていると、少年犯罪の防止に支障を来す、少年のプライバシーを暴いてでも、国民的議論のもとで犯罪防止策を考えるべきだというのであれば、法を改正すべきであって、たまたま取材が成功した特定の事例だけが少年のプライバシーについて広く報道される、というのでは少年犯罪についての有益な議論すらできないことも明らかである。必要性があるならば、堂々と法改正し、プライバシー開示に基準を設け、適正なプライバシー開示がなされるべきなのである。また、国家がそれを拒む必要性も理由も無いのであって、国民合意のもとで法改正すればよいだけのものである。

 それを、報道側だけの判断で、法に反して、法で守られた少年等のプライバシーを一方的に開示する、などということが許されないことは明らかである。

(5)今回の、少年のプライバシーを暴く、明らかな犯罪行為、違法行為は、国家悪を暴く正当な取材、報道とは全く種類が異なるものであって、これを混同することは、今後の、国家悪を暴く取材の萎縮を来すことにもなるものである。

 この問題を論じる時は両者の違いを明確にし、個人のプライバシー侵害については、国家悪に対するものとは違って、取材、報道の自由による違法性阻却は無いというべきである。


「たかじんのそこまで言って委員会」は、放送法違反である。まともな左派言論人を出演させよ [報道・言論]

 よみうり系のテレビ番組、「たかじんのそこまで言って委員会」は、橋下大阪府知事当選に大きな影響を与え、また橋下弁護士がひかり市母子殺人事件で、弁護団への懲戒請求を教唆して敗訴判決を受けた事件の、つまり不法行為の舞台を提供した討論番組であるが、毎回、たとえば、太平洋戦争の侵略行為についての村山談話に異議を述べる等の、右派言論人ばかりを多数出演させている。
 左派言論人の多い同種の番組もあることから、右派言論人が多いことはここでは問題にしない。しかし、いつも左派から一人出演しているのが田嶋陽子氏であるというのが、極めて意図的、詐術的な番組編成で、不当だと考える。一人しかいない左派言論人である田嶋氏が、原理主義的、教条主義的な平和主義、女権主義、人権主義的な発言を、時にヒステリックに行い、その他のメンバーから、徹底的に批判されて、だから、サヨクはだめなんだ、空想的だ、非現実的だ、ななどと袋叩きにされている姿は、見るに耐えないものがある。たまに出ている他の左派言論人が、共産党を離党した元幹部である、などということからも、この番組が、そのような技巧により、右派的言論が正しいと視聴者に欺瞞的に植え付けようとする意図があると言わざるを得ない。
  放送法は、政治的公平、事実をまげないこと等を放送局に求めている。同番組のように、不当な技巧により右派言論の正当性を視聴者に印象付けようとする番組編成は、放送法に反して違法であり、直ちに是正されるべきである。

橋下知事の朝日新聞攻撃 [報道・言論]

 橋下知事の朝日新聞攻撃が止まらない。前日に続いて、10月20日にも、朝日新聞について、「なくなった方が世の中のためになるんじゃないかと思う。」と報道陣に述べたとのことである。
 そもそも朝日新聞の社説は、橋下知事が、懲戒請求教唆事件において、広島地裁で800万円の賠償命令判決を受けたことに対して、弁護士資格を返上してはどうか、というものであるが、実にまっとうなものだと思われる。同判決によれば、橋下氏は、自ら重大な不法行為を行ったのみならず、何百人もの人に、不法行為たる、懲戒請求をすることをそそのかしたことになるからである(一般の人には故意が無かったという可能性はあるものの)。これは極めて由々しきことであるのに対して、橋下知事から、具体的に何が悪かったかとの反省の言葉はない。
 それはともかく、知事が、新聞という言論機関を、批判するのは自由だとしても、「なくなった方がよい」などと発言するのは、特定の言論機関の存在を否定するもので、知事の権力の大きさからして、言論の自由に対する重大な侵害であり、看過できないものである。
 橋下知事のこの発言は、明らかに憲法感覚を欠くもので、改めて、弁護士の資格が問われるものであるが、むしろ、知事の資格自体も無いと言わざるを得ないのではないだろうか。
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