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大したことのない自民党の経済成長公約を、「日銀に輪転機でいくらでもお札を刷らせるのだ」などと言う安倍総裁は、二重の意味で不当だ。 [平成24年総選挙]

(1) 自民党の今回の総選挙での政権公約が発表されたが、経済政策としては以下のとおりである。

26 大胆な金融緩和でデフレ・円高から脱却


 デフレ・円高からの脱却に向けて欧米先進国並みの物価目標(2%)を政府・日銀のアコード(協定)で定めるとともに、日銀の国債管理政策への協調などにより大胆な金融緩和策を断行します。金融緩和の実効性を高めるため、日銀法の改正も視野に、政府・日銀の連携強化の仕組みを整えます。財務省と日銀、さらに民間が参加する「官民協調外債ファンド」を創設し、基金が外債を購入するなど様々な方策を検討します。
 また、日米欧中を中心とした国際マクロ政策協調(平成のルーブル合意)の合意形成に向けた積極的な通貨・経済外交を強力に推進し、安定化を図るとともに、危機防止に向けた国際交渉に果敢に取り組みます。

(2) 何のことはない、自民党が政権公約に書いていることは、現在、民主党政権がやっている政策と大差はない。物価目標が1%ではなく2%であることと、「外債購入ファンドを作る」ということくらいが目新しいところで、あとは「強力に」とか「果敢に」とかいう形容詞が付いているだけである。

(3) これに対してこの自民党の経済政策を説明する安倍総裁は、「日銀にはお札をする輪転機があるから、いくらでもお札を刷ってもらう」「建設国債を発行して、全部日銀に買ってもらう」などと実質的に日銀に国債を直接引き受けさせるかの説明をした。その結果、そうすると、またぞろバブルが発生し、超インフレになり、それによって、円の価値や信認が毀損される可能性を想起させてしまった。

(4) いわゆる安倍高、株式相場の上昇とドル高は、この安倍総裁の説明の「口先介入」の結果でそうなっていると言われているが、いくらでもお札を刷って、無尽蔵に建設国債を日銀に買わせる、などということができるわけがないのだから、自民党政権になっても、前記の、政権公約に書いてある程度のことしかできず、結局、市場は失望して株価が下がり、円高もまた元に戻るだろう。

 結局、日本のトップは経済のことが判らない、とんでもないことを言うバカだ、そのうち政府紙幣を発行するとでも言い出すだろう、と、世界に恥をさらしただけの結果となった。また、国民に対しては、まるで自民党政権になれば画期的手法により株が上がり円高も収まるかの幻想を与える結果になった。この二重の意味で、一連の安倍総裁の発言は、極めて不当であると考える。