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日銀は、物価を下げる機関ではあるが、物価を上げる機関ではない。安倍自民公約を批判する。 [平成24年総選挙]

(1) 安倍自民が、総選挙の政権公約に、日銀法改正を明記する方針を固めた旨、11月20日の新聞に報道された。

 安倍氏によると、2~3%の物価上昇目標を定めて、物価上昇につき日銀にも責任を持たせるということや、建設国債は全部日銀に引き受けさせる、とまで考えている、とのことである。

(2) しかし、日銀は金利を上げ下げし、また通貨供給量を調整して景気を調整する国家機関である。物価が上がらないようにする機関ではあるが、物価を上げる機関ではない。

 物価は自然に上がるのは仕方がないし、上がりすぎた場合に景気を冷やして物価上昇を抑えるのは日銀の役割である。従来から、政府は公共投資で景気をよくし、日銀はバブルや物価高騰にならないよう、景気の過熱を防ぐべく公定歩合や資金供給量を絞って調整する。

(3) もともと物価を上げる、景気をよくするのは政府の公共投資や規制緩和等の力である。それも限界に来ているので日銀はすでに最大限の協力を行い、金利はゼロまで下げ、資金も市場に必要なだけすでに供給している。

 すでに日銀による景気のブレーキは完全に足から離れ、日銀はこれ以上、することはない。すでに、物価が1%上がるまで、しばらくブレーキは踏まない旨を宣言している。それでも物価は上がらないのである。

(4) ブレーキをどんなにいじっても、車速はそれ以上、早くはならない。そこで、まさに、安倍氏は、建設国債を直接、日銀が無尽蔵に引き受けるなどして、政府が好きなだけ金を使って景気をよくする、と宣言しているのであるが、しかし、それでは財政規律がなくなる。カンフル剤を打って、今すぐはよくなっても、それをやめればすぐまた同じことになる。今度はもっと強いカンフル剤を打つことになる。

 そうして、土地や株、また、物価がバブルで暴騰して世の中が大混乱に至る、それに至るまでに日銀がそれをとどめる手段を、今、奪ってしまおうというのが安倍氏の案である。

 そういうことにならないよう、現代社会では中央銀行を政府から独立させている。 まさに、悪質な政権が自分の都合のいいように、今だけ景気をよくしよう、選挙前だけ日経平均を上げよう、などということができないようにしているのだが、国債を直接日銀に自由に引き受けさせよう、などというのはそれ以前のとんでもない暴挙である。

 安倍氏は、日銀がなぜ、政府から一定の独立を保って金融政策を行う制度になっているか、勉強しなおしてから総選挙に臨んでもらいたい。