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安倍政権で経済はよくならない。特に危機ではない状態を、政権が危機だと騒ぐこと自体が危機だ。 [アベノミクス批判]

(1) 安倍内閣が本格的に始動した。安倍首相はデフレ対策が喫緊の課題、最大の目的であるといい、金融政策、公共投資、成長戦略が3本の柱だとして経済政策を取っていく、と表明している。

(2) しかし、安倍経済政策は成功しない。安倍氏の経済の考えは根本的に間違っている。

 物価上昇が2%に達するまで、日銀の金融緩和は維持すると公約している。しかし、物価と景気は必ずしも連動しない。景気は過熱してきているのに、円高は余り是正されず、安価な輸入品の増加等で物価は上がらないこともある。そうすると金融引き締めが遅れて狂乱物価を呼ぶ恐れがある。逆に、円安、資源高等により、景気は回復しないのに、物価が上がることがある。この場合、狂乱物価に至る可能性は小さいのに金融引き締めを行うことになる。

 最も大事なことは成長戦略であるが、成長戦略には適度の規制緩和とセーフティネットの充実が重要である。しかし、野放図な公共事業の拡大と金融緩和はこれにむしろ逆行するものである。

(3) そして何よりも、ここ20年間、現在まで誰がどんな経済政策を取っても景気が回復しないのは、日本で未曾有の高齢化、生産年齢人口の減少が起きているからだ、ということを理解していないのが問題である。

 誰が何をやっても、経済成長率は、たとえばマイナス5%から出発するのが当然なので、これをプラス3%にするのはもともと不可能に近く、プラス3%になるまで公共工事を拡大させ、金融緩和を続けるなどという方針を立てると、公共工事の拡大と金融緩和をやめられないことになる。

(4) このような現状を、何としてもすぐに回避しなければいけない「危機」だとして早期にプラス成長になることを公約すると、行きすぎた公共工事の拡大で財政破綻をもたらし、金融緩和の行きすぎで国債の暴落、バブルや狂乱物価の危機に向かうことになるというべきである。

 安倍政権で経済はよくならない。公共工事を増やした分、GDPは増えるが、それだけである。数年後、仮に国債の暴落や、狂乱物価にはなっていなくても、確実に財政状況が今よりもっと危機的になり、今後取り得る手段を縛るだけである。

 その時には、今なら打てる手も打てなくなる。安倍政権で経済はよくならない。取り返しのつかない被害を日本に与える前に、退陣すべきである。