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解散総選挙は民主政治にとって、民意を国政に反映させるための最も重要な制度である。野党の準備不足に乗じて勝とうなどとは、政治家の風上にも置けない暴挙である。 [平成26年総選挙]

(1) 11月21日、安倍首相が衆議院を解散し、総選挙が行われることになった。

 しかし、安倍氏は解散の理由を、アベノミクスの継続、安倍政権の2年間を問う、などと言っているが、なぜ2年後、「4年間の信を問う」ということではないのか、与党は衆参ともに安定多数を占めていて、アベノミクスの継続に何の障害もないはずである。安倍氏は2年前、アベノミクスの実行を約束して総選挙に勝ち、国民の支持を得て、まさにアベノミクスを実行中なのであろう。どうしてアベノミクスの実行途上である今、衆議院を解散して、国民に何を問わなければならないと言うのか。アベノミクスが解散総選挙の理由にならないことは明らかというべきである。

 さらに言えば、今回、安倍氏は消費税増税を1年半延期することを発表したが、同時に次回は決して延期はしない旨、その時点では景気が確実に回復していることに自信を示しているのである。

(2) そうであれば、まさにアベノミクスが景気回復を実現し、一段落すると言っている4年後、アベノミクスの結果を示し、さらに4年、政権を安倍氏に委ねるかどうか、ということを争点に、解散総選挙を行えばよいだけである。

 安倍氏がどんな言い訳をしても、向こう2年間でアベノミクスの失敗や原発の再稼働、「集団的自衛権」の法制化で国民の不満が出て、ちょうど任期満了の頃、国民から批判が出て、選挙が不利になりそうだから、今のうち、野党の準備が整わないうちに解散してしまおうという意図で行われたことは明らかである。

(3) しかし、言うまでもなく、解散総選挙は民主政治にとって、民意を国政に反映させるための最も重要な制度である。野党が十分準備を整えた時点で選挙をすれば、与党は絶対多数の議席を得ることなどできないところ、今なら野党の隙を突いて与党が多数の議席を得られる。特に、与党は、得票率を遙かにしのぐ多数の議席を得られる小選挙区制のもとでは、野党の準備が整わない隙に解散総選挙を強行し、国民世論を反映しない、与党が過分な多数の議席を得ようと画策する、などということは、民主主義と呼ぶに値しない暴挙というべきである。

(4) 自民党では代々、解散は首相の大権などと言って、解散の時期は党内で誰も反対できず、首相が自由に決められるとしている。世論が、解散して国民の信を問え、ということになれば、首相は解散すべきなのであって、そのような世論に抗して解散しない、などということは許されないものである。

 それはともかく、解散は、世論に従い、大義のあるものでなければならないのは当然で、「ではいつか」ということは、首相に決断を委ねようということに過ぎないはずである。

 どう見ても、党利党略による解散時期の決定としか考えられない今回の解散は、民意を国政に反映させる、という、民主主義の本質を否定するもので、不当極まりないものである。このような暴挙には、国民が明確に、ノーという審判を突きつけるに違いないと考える。