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アベノミクスとは、なりふり構わず株価を上げることか。時間を平成元年に戻してどうするのだ。 [アベノミクス批判]

(1) 安倍首相がニューヨーク証券取引所を訪れ、「Buy my Abenomics!」などと、映画「ウォール街」で違法手段を用いてでものし上がり、「貪欲は善だ」などと言い放った「ゴードン・ゲッコー」の言葉を引用し、日本を買ってくれ、とアメリカ金融界に訴えた。

(2) しかし、何度も指摘しているように、安倍首相と黒田日銀総裁の経済政策は、日本経済を破綻のリスクにさらしつつ、世界的大実験を行い、いちかばちかで経済再生をはかっているものであるが、基本的にバブルをあおることを最大の眼目にしているもので、バブルが適度に膨らんでいるうちに企業が設備投資を拡大させ、賃金が十分に上昇する必要がある。

 賃金が十分上昇する前に、バブルが膨らみ過ぎると、金融を引き締めざるを得ないが、そうすると賃金もまた下がってしまう。あるいは、一定の財政拡大も続けざるを得ないと思われるが、景気が十分回復して税収が増加するまでに、財政が破綻するリスクとも戦わなければならない。

(3) Abenomicsとは、アセット バブル エコノミクス(ABE・バブルを作る経済政策)であると、同志社大学の浜矩子教授が看破しているが、まさにそのとおりである。

 政府が、紙幣はいくらでも刷ってインフレにするから安心して株を買え、と言えばバブルの形成は簡単にできる。しかし、一時は、今はよくても、バブルはいつか弾ける。その時のバブルが大きければ大きいほど、その後のダメージが大きくなることは、平成元年までのバブル崩壊で、日本が思い知ったのではなかったのか。

(4) まずは暮れの予算編成の時が最初の危機であろう。株価が上がった、ということ以外に、賃金は上がらず税収は増えず、経済指標はさほど改善されず、財政赤字だけが増えた、ということになると、その後はいつ、国債が暴落して財政が破綻し、超インフレになってもおかしくない状態になってしまう。

 そうなる前に、多少の不況は覚悟して、少しでも財政の健全化をはかるべきである。残された時間はそんなに長くはない。