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アベノミクスは日本を「失われた50年」に追い込む。そうなる前に、速やかにまともな金融政策に戻せ。 [アベノミクス批判]

(1) 平成24年11月以降、いわゆるアベノミクスの結果、円安が進み、日経平均株価もここまで順調に上がっていたが、5月23日、1日で1143円も暴落し、翌24日は1000円以上も乱高下し、早くもアベノミクスの将来が極めて危ういことを示す結果となった。

(2) 日銀総裁が、脱デフレのために何でもやる、などと宣言して、本当に「何でもあり」の金融政策を取っているるのは、まさに日本経済を破綻の危機に追い込んでいるものであり、当面、日経平均株価が上がっている、円安が進んでいる、などということでよしとできる問題でないことは明らかである。

 将来、たとえば、1~2年先等に、国債の暴落、超円安等により日本経済が壊滅的損害を被るようなリスクは、絶対に避けなければならないのは当然であるが、そのリスクを冒し、日本経済全体を賭けに供しているのが現在の黒田日銀の実態である。アベノミクスの危険性、黒田日銀総裁の政策が間違っていることについては、すでに何度も指摘しているところである。http://kentaro-0013.blog.so-net.ne.jp/2013-03-25

(3) 今回も、金利の乱高下が株価の暴落の一つの原因となった旨が指摘されているが、そもそも日銀は1~2年以内に2%の物価上昇を実現するとしている。そうすると国債は2%以上下がるということであるが、国債価格の下落がそこで止まるという保証は誰もできないことは明らかである。日経平均株価が上がり、国債価格の下落が確実な今、そもそもメガバンクをはじめ、国内の金融機関が大量に保有している国債を「売らない」という選択があり得るのだろうか。

 先日来、三井住友は国債を売り、みずほと三菱UFJは維持し、今回は国債は下がらず、三井住友の1人負けだった、などということが報道されているが、金融機関は互いに牽制しつつ、自分だけでも少しずつでも国債保有残高を減らして行こうと思っているはずである。

 このような状況のもと、結局、いつでも、いくらでも、日銀が国債を買い取る、ということで初めて、国債価格は維持されることになるが、すでに限界を超えた資金供給をしている中で、これ以上の、しかも際限のない国債の買い取り、資金供給は円の価値を数量的に下落させ、また円の信任という意味でも大きく価値を毀損することになるのではないか。そうすると、円が暴落し、止まらない、という事態も懸念される。

(4) あるいは、金利が2%に上がったら、政府の、国債の金利払いはどうするのか。既発行の国債の金利は変わらないが、これから発行する国債の金利は2%に上げることになる。その利払いに政府は耐えられるのか。あるいは、今後の金利上昇も見込まれる中で、30年国債などというものが2%で引き受け手があるのか。

(5) 現在、政府・日銀は、これまでの金融政策の常識からして、してはならないことをしている。それがうまくいっているように見えているうちはともかく、今後、失敗して経済が大混乱に陥った際に、どんな政策を取っても、誰が日銀の言動を信用できるというのだろうか。

 円が暴落し、日本そのものが国際的信用を失墜し、その中で国民経済が大混乱に陥ると、その回復には5年や10年では済まないだろう。ということになる。現在、平成2年以降、失われた24年目が進行中であるが、アベノミクスが失敗すると、「失われた50年」になりかねないものである。そうなる前に、一日も早く元の、まともな金融政策に戻すべきである。