SSブログ

原油安の原因、原油価格は投機筋によって作られていることを認識しておくべきだ。 [経済]

(1) 原油安が世界経済に大きな影響を与えている。原油価格といえば最近は1バレルが100ドル程度という感覚があるが、2014年の年末にかけて、70ドルを割り込んで60ドル台を付けるに至っている。

 原油価格が40%も下落するのは、過去30年間で、1986年、97年~98年の2回しかなく、世界経済としては、原油消費国にとって大きな景気浮揚要因であるが、産油国の経済にとっては大打撃で、特にロシアのダメージが大きく、ルーブルが暴落するなど、原油安がむしろ世界経済に悪影響を与えている旨が報道されている。

(2) この原油安の原因について、北米の、シェールガス・オイルの開発や先進各国の金融緩和、特に米国FRBの量的金融緩和の縮小・終了が一番の原因である、などと言われている。

  その他、2014年12月23日号のエコノミスト誌には、原油価格について二つの記事がでている。富国生命の市岡繁男氏の「米量的緩和縮小で揺らぐ原油市場」という記事と、JPモルガン証券の足立正道氏の、「原油安と金融緩和は成長を加速 世界経済の懸念は米国の金利上昇」という二つの記事などを掲載されている。

 特に後者では、原油価格下落の原因について、新興諸国経済の需要の弱さが40%、先進国の需要の弱さで5%を説明できるが、残り55%は供給サイドの要因であるなどと分析している。

 しかし、そもそも原油価格は、投機筋による「仕手戦」により決まるもので、経済的要因から説明しようとするのは間違いである、ということを認識しておくべきである。

(3) 原油価格は2008年には、147ドルなどという価格をつけたかと思うと、1年以内に70ドル程度に下がったりと、経済とは特に関係なく、いわば投機筋の「仕手戦」の結果、そのような乱高下が起こっているものである。世界の原油価格は、先物市場で決まるのであるが、よく「尻尾を動かして頭の位置を決める」という逆転現象が起こっている、などと言われている。

 これは、簡単に言うと、先物市場とは、将来の現物価格を予想して、あくまで「帳面上の売買」を行い、買った値段と売った値段の差額から計算される損益を、参加者の間でやりとりする、いわば博打場なのである。原油不足が予想されて投機筋の資金が流入して先物市場で原油価格が暴騰する、などと説明されるのであるが、先物市場への資金の流入とは、「博打場」への参加者の増加に過ぎないのであるから、原油先物市場に、価格予想と無関係に大量の「買い注文」の「資金」が流入し、その結果、原油先物価格が上昇する、などというのは、一種の価格操作、市場破壊、まさに「仕手戦」だという認識を持つべきなのである。
 http://kentaro-0013.blog.so-net.ne.jp/2008-10-21-1

(4) 昨年来の原油安は、それまでの異常に、不当に高い原油価格が是正されたものとして、現在の60ドルくらいまでなら、特に原油消費国としては「問題ない」とする姿勢も是認できるところであるが、これ以上下がるようなら、世界として問題にするべきである。ロシアを始めとする産油国の経済に与える影響が大きく、それは世界経済にも大きな悪影響を与える。

 原油価格は、需要や供給の関係からではなく、前記のとおり、要するに、投機筋による「仕手戦」により決まっているのである。その価格によって世界経済が振り回されるのはおかしい。

 現在の原油安も、また、今後、すぐまた生じるであろう原油高も、相場筋による「仕手戦」で決まるのある。世界経済に悪影響を与えるような乱高下は、世界でもって是正すべきである。簡単なことである。世界で、原油の売買価格を、先物市場の値段に従わなければよいだけのことである。

 原油価格は、投機筋による「仕手戦」により決まるもので、経済的要因から説明しようとするのは間違いである、ということを認識しておかなければならない。