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日銀総裁が「脱デフレのために何でもやる」では困る。物価の番人として、決してできないことがあるはずだ。 [アベノミクス批判]

(1) 新しい日銀総裁に、黒田東彦氏が就任することが事実上決まった。脱デフレのために何でもやる、などと日銀総裁候補者が国会で所信表明するのは極めて不適切である。

(2) 黒田氏はまた、この15年間、日銀が物価の番人としての職責を果たしてこなかったなどとも言っているが、不当である。

 この15年間、日本の物価は概ね、0.3%の下落あたり、せいぜい1%の下落状態で安定してきた。物価は安定しているのであり、日銀は、立派に、物価の番人としての職責を果たしてきたものである。

 黒田氏は、できるだけ早く、どんな手段を用いても、2年ないしそれ以内に、「2%」の物価上昇を実現する、と言っているのである。そちらの方が物価安定に反するもので、黒田氏こそ、日銀の物価の番人としての使命を放棄することを言明しているもので、問題である。

(3) 黒田氏は日銀総裁就任にあたり「デフレファイター」を自認し、デフレ克服を公約にする、とまで言っているが、まともな手段ではできないことを公約にしているもので、二重の意味で不当である。

 日銀はインフレファイターとして、インフレを止める手段は持ち合わせているが、デフレを正当に止める手段は持ち合わせていないhttp://kentaro-0013.blog.so-net.ne.jp/2013-01-23。そもそも0.3%のデフレを止めようとして、2%のインフレにする、などという目標自体が、政府のそれとしては許されても、物価の番人としての日銀には許されないはずである。

(4) 黒田氏には、元財務官として、常識的な金融政策の舵取りを期待したが、それは叶わないようである。このままでは超インフレにはならないとしても、土地と株のバブルが発生し、バブルだからまたすぐに弾けて、なお一層、実体経済に悪影響を与える。数年後が心配だ。