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東電社員の給料を下げて、電気代値上げ幅を圧縮しようとするのは間違っている。 [東日本大震災]

(1) 7月13日、枝野経産大臣は、松原消費者担当大臣と会談し、東電の電気料金値上げ問題で、東電の人件費を減らすことで合意したとのことである。

 また、消費者委員会は12日、国民感情からして、東電社員の年収を、経産省が発表した20%よりも、さらに圧縮することを求める意見を出し、日弁連までこれを支持する会長見解を発表している。

(2) しかし、30%も給料が下がったら、生活が成り立たなくなる社員も出てくるだろうし、大学へ通えなくなる子どもも出るだろう。その犠牲のもとで、公共料金を下げる、などというのは、どう考えても間違っている。

 職員の給料を大幅に下げて、料金、税金を上げないようにしよう、というのは橋下大阪市長の得意とするところであるが、それを批判してきたはずの日弁連まで、東電社員の給料を下げよ、などというのはとんでもないことである。

(3) 倒産に瀕した企業は事業スキーム自体が成り立っていないので、部門単位の閉鎖等、人員削減が不可欠で、1000人減らすところ、給料を半分にしてでも、人員減を最小限に済まそうということから、大幅な給料カットに従業員も同意するのである。

 また、その状態でないと、公的資金も投入できない、ということであろう。

(4) しかし、東電の経営が成り立たないのは賠償債務の問題であり、その他の場面で、社員の給料を下げないとやっていけない、という点はない。これまで原発を推進してきた国策に沿って働き、それを完璧に遂行し、国策が変わったらそれに沿って働く東電社員に全く責めもない。

 要するに、大衆が、人民裁判で、東電が悪い、東電社員の給料を減らせ、と主張してそれが実現し、溜飲を下げるのであろう。しかし、人民裁判なら、被告人を取り違えているのも明らかである。

(5) 特に、消費者委員会の立場について論じれば、電気料金は、経産大臣だけでは決められず、消費者大臣の同意がいるため、消費者委員会の意見は、極めて重要な役割を持っていた。公共料金決定に、消費者の意見が現実に反映される、歴史的な、画期的な場面だったわけであるが、消費者委員会が、社員の給料を下げて料金を下げろ、などという暴論を出したことは実に残念である。

 東電社員の給料を下げて、電気代値上げ幅を圧縮しようなどというのは、絶対に間違っている。