安倍首相の終戦記念日の式辞が、戦死軍人の慰霊、敬意と感謝に偏しているのは不当である。 [戦後民主主義問題]
(1) 平成29年8月15日、終戦記念日の全国戦没者追悼式のお言葉、式辞で、天皇陛下は、先の大戦で亡くなった、すべての人と遺族に対する慰霊、慰安の言葉を述べられたのに対して、安倍首相の式辞は、もっぱら、戦死軍人に対する敬意と感謝の言葉で占められ、また、加害者としての反省の言葉も全く入れられていないものである。
しかし、まさに後記の天皇陛下のお言葉の中にあるように、終戦記念日は、先の大戦のすべての死者を悼み、戦争を起こしてしまったことを反省し、二度と戦争を起こさないことを誓う祈念の日である。
戦死者を称え、感謝の意思を国家が示すのは、次の戦死者が容易に出るように、つまり、今なら自衛隊員が思いきって命を懸けられるよう、体制を整えているもので、平和を志向することとは相容れない好戦的行為である。http://kentaro-0013.blog.so-net.ne.jp/2013-12-26
8月15日は、戦死者を称える日ではない。先の戦争を反省し、二度と戦争を起こさないことを国民すべてで誓う日である。安倍首相の式辞が戦死軍人の慰霊、敬意と感謝に偏しているのは不当である。
(2) 以下に、今年の安倍首相の式辞、全文を記する。
天皇皇后両陛下のご臨席を仰ぎ、全国戦没者追悼式を、ここに挙行致します。
先の大戦において、三百万余の方々が、祖国を想(おも)い、家族の行く末を案じながら、苛烈(かれつ)を極めた戦場に斃(たお)れ、戦禍に遭われ、あるいは戦後、遠い異郷の地で命を落とされました。いま、その御霊(みたま)の御前にあって、御霊安かれと、心より、お祈り申し上げます。
いま、私たちが享受している平和と繁栄は、かけがえのない命を捧げられた皆様の尊い犠牲の上に築かれたものであります。私たちは、そのことを、ひとときも忘れることはありません。改めて、衷心より、敬意と感謝の念を捧げます。
戦争の惨禍を、二度と、繰り返してはならない。
戦後、我が国は、一貫して、戦争を憎み、平和を重んずる国として、ただひたすらに、歩んでまいりました。そして、世界の平和と繁栄に力を尽くしてきました。私たちは、歴史と謙虚に向き合いながら、どのような時代であっても、この不動の方針を貫いてまいります。
未(いま)だ、争いが絶えることのない世界にあって、我が国は、争いの温床ともなる貧困の問題をはじめ、様々な課題に、真摯(しんし)に取り組むことにより、世界の平和と繁栄に貢献してまいります。そして、今を生きる世代、明日を生きる世代のため、希望に満ちた明るい未来を切り拓(ひら)いていく。そのことに、全力を尽くしてまいります。
終わりに、いま一度、戦没者の御霊に平安を、ご遺族の皆様には、ご多幸を、心よりお祈りし、式辞といたします。
(3) 以下は、天皇陛下のお言葉の全文である。
本日、「戦没者を追悼し平和を祈念する日」に当たり、全国戦没者追悼式に臨み、さきの大戦において、かけがえのない命を失った数多くの人々とその遺族を思い、深い悲しみを新たにいたします。
終戦以来既に七十二年、国民のたゆみない努力により、今日の我が国の平和と繁栄が築き上げられましたが、苦難に満ちた往時をしのぶとき、感慨は今なお尽きることがありません。
ここに過去を顧み、深い反省とともに、今後、戦争の惨禍が再び繰り返されないことを切に願い、全国民と共に、戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対して、心から追悼の意を表し、世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります。
2017-08-15 16:51
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