SSブログ

鳥取産梨の値下がりを、原発事故の東電に賠償請求する、との県知事の見識を疑う。 [東日本大震災]

(1) 鳥取県の平井伸治知事が10月19日の定例記者会見で、福島原発事故の影響で、同県産の梨などの農産物が値下がりしているとして、近くJA県中央会などと協議会を設立し、東電への損害賠償請求を検討することを明らかにしたとのことである。

(2) 県によると、風評被害で販売不振となった福島県産の梨が、関西地方の市場に販路を求め、大阪中央卸売市場では梨の入荷量が前年比で35%増えたので、鳥取県産の二十世紀梨の単価が、全国の市場で30%下落したという。

 平井知事は、「訴えるべきことはしっかり訴えて、農家の不安解消に努めたい」と話したとのことである。

(3) しかし、この請求はおかしいのではないだろうか。福島県産の梨は風評被害の結果、大きく値下がりし、全国の市場に販路を求めざるを得なかったのだろう。

 その結果、鳥取県産の梨が売れなくなって値下げをせざるを得なかった、ということのようだが、それは、消費者が放射能汚染の恐れがあって、客観的価値の低い梨を食べている、という問題であって、その結果、鳥取県産梨が値下がりしたからといって、原発事故と直接の因果関係が無いことは明らかであろう。

(4) 福島県産の梨は、風評被害の結果、その客観的価値が下がり、値段が下がったのである。原発と風評被害的にも無関係な鳥取県産梨は、それまでと同じ価値を有するのだから、鳥取県産であることを明示して、同じ値段で売ればよいだけのことである。

 結局、日本国民全体が、梨その他の農産物全体について、安くなければ買わない、ということであって、直接的被害も、風評被害すらない鳥取県産梨の価格下落まで、福島原発事故が原因であるとして賠償を求めるなど、不当な「訴え」であることは明らかである。

(5) 鳥取県知事は、原発事故についての各地の農産物の被害、風評被害について、また、東電の責任について正しい認識を持って、適切な行動を取ってもらいたいものである。


nice!(0)  コメント(1)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 1

通りすがり

このニュース、知りませんでした。
風がふいて桶屋がもうかった的な話で、さすがにやりすぎですね。
同感です。
by 通りすがり (2011-10-24 23:39) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0