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物価とバブルの番人である日銀が機能停止したのだから、日本経済は今、危機的状況にある。 [アベノミクス批判]

(1) 日銀総裁に黒田氏が就任し、4月4日の金融政策決定会合では、資金供給を2年で倍にすることや、国債買い入れの歯止めを撤廃し、REIT、ETFなどのリスク資産を買い増すことを決めるなど、要するに、物価上昇率を2年以内に2%にするためには何でもやる、などという公約を何としても実現させる、と内外に宣言しているものである。これを「好感」して市場でも、日経平均は上がり、再度、円安になっている。
 しかし一方で、3月31日の朝日朝刊には、4年間で物価が10%上がる、などという記事も掲載されている。

(2) 要するに安倍政権と黒田日銀は、白川前総裁やこれまでの政権がどんなに頑張っても景気回復ができなかったことから、アベノミクスと称してバブルをあおり、物価を上げて景気を回復させる手段を取っているものである。

 ミニバブルを着火材にして、バブルをはじけない程度に膨らみ方を調整しつつ景気回復をはかる、ということが実現できればいいが、またぞろ株や土地のバブルが形成されてまたはじければ、バブルの形成と破裂、物価高騰のプロセスで、その恩恵と無関係な消費者、弱者が大変な迷惑だけを被ることは明らかである。

(3) 日銀は言うまでもなく物価上昇の番人であるとともに、平成元年までのバブルを壊したのが三重野日銀総裁だと言われているように、バブル膨張の番人でもある。

 ところが現在、物価とバブルの番人のはずの日銀が、前記のとおり、物価上昇、バブル形成の先鋒となってしまっているものである。わが国の、物価上昇防止、バブル形成防止のシステムは危機的状況にある。

 世の中、円安と株高を早期に実現した安倍政権を手放しで歓迎しているように見えるが、安倍政権は景気に対して、まだ何も実行していない。

 要するに、口先介入の結果、うまくバブルが膨らんでいる状態で、黒田日銀は、このままバブルを膨らませ、物価を上げようとし、ブレーキを絶対に踏まないことを宣言し、心おきなくバブルを膨らませよ、と言っているものである。

(4) 3月29日、朝日朝刊の16面のコラム「経済気象台」は、岩田日銀副総裁の承認に反対した野党に対して「デフレからの脱却を望んでいないのか、理解できない」などと痛烈に批判している。

 円安と株高を実現している安倍政権の経済政策を批判する勢力は極めて小さいが、現実には現在の日本経済は極めて危機的状況にあることを認識しなければならない。ひとつ間違えば、物価暴騰、国債暴落その他、日本経済が壊滅的損失を被る危機的状況にあることを認識しなければならない。


安倍政権は長くて向こう5年間、またぞろ日本をバブルに酔わせ、その後、国民は失われた30年の現実を思い知らされる。 [アベノミクス批判]

(1) 安倍新政権誕生以来、高い支持率が続き、政権発足後3ヶ月を経ても、65%などという支持率を維持している。

 これはみな、為替が円安に大きく動き、日経平均が1万2500円程度と、野田前首相の解散発言以来、4000円以上も上げていることで、安倍政権が景気をよくしてくれるに違いない、いや現によくしていると思っている、という「アベノミクス」効果であると考えられる。

(2) そもそも前回の安倍政権以降、誰が何をやっても日本の景気はよくならなかった。20年に及ぶデフレも景気の停滞も、すべての原因は今の日本が、世界史に例を見ないほど激しい労働人口減少状況にあり、どうしようもないものである。これを打ち破るには、アメリカのシェールガス革命のようなことが日本でも起こったり、画期的な科学、医学の発明などが起こって、大金を出しても誰もが買いたくなるようなものができるくらいしか、打開策は無いと考えられるものである。

(3) ところが安倍氏は、これまでと全く違う方法で、いくらでも紙幣を刷るから必ずデフレを脱却する、などとなりふり構わず宣言し、「見事に」口先だけでバブルを実現させた。このバブルを簡単には弾けさせないために、本来、バブルの発生にブレーキをかける役割を担っている日銀に、ブレーキどころかバブルのアクセルを踏ませるという禁じ手を取り、バブルの形成、拡大、破裂への道をまっしぐらに進むことになってしまった。

(4) 本ブログでは、かねてから、自民党、民主党、誰がやっても景気が回復しない限り、国民は次々と新しい政権を試し、その度に失敗して、ついには橋下政権を作り、また、和製ヒットラー政権も作ることになる、ということを警告してきたが、自民党が、国民を欺くバブル政策で政権を取り戻すとは全く予想外であった。

 しかし、今の日本は日銀という、バブルと物価上昇の見張り番という、現代社会に不可欠な安全装置を欠いたまま、バブルの形成、崩壊という5年間と、その後、ちょうど今の半年前の状態に戻り、今よりもずっと拡大した財政赤字のもと、財政破綻目前の、失われた30年に向かってばく進する結果になることは明らかだと考える。


日銀総裁が「脱デフレのために何でもやる」では困る。物価の番人として、決してできないことがあるはずだ。 [アベノミクス批判]

(1) 新しい日銀総裁に、黒田東彦氏が就任することが事実上決まった。脱デフレのために何でもやる、などと日銀総裁候補者が国会で所信表明するのは極めて不適切である。

(2) 黒田氏はまた、この15年間、日銀が物価の番人としての職責を果たしてこなかったなどとも言っているが、不当である。

 この15年間、日本の物価は概ね、0.3%の下落あたり、せいぜい1%の下落状態で安定してきた。物価は安定しているのであり、日銀は、立派に、物価の番人としての職責を果たしてきたものである。

 黒田氏は、できるだけ早く、どんな手段を用いても、2年ないしそれ以内に、「2%」の物価上昇を実現する、と言っているのである。そちらの方が物価安定に反するもので、黒田氏こそ、日銀の物価の番人としての使命を放棄することを言明しているもので、問題である。

(3) 黒田氏は日銀総裁就任にあたり「デフレファイター」を自認し、デフレ克服を公約にする、とまで言っているが、まともな手段ではできないことを公約にしているもので、二重の意味で不当である。

 日銀はインフレファイターとして、インフレを止める手段は持ち合わせているが、デフレを正当に止める手段は持ち合わせていないhttp://kentaro-0013.blog.so-net.ne.jp/2013-01-23。そもそも0.3%のデフレを止めようとして、2%のインフレにする、などという目標自体が、政府のそれとしては許されても、物価の番人としての日銀には許されないはずである。

(4) 黒田氏には、元財務官として、常識的な金融政策の舵取りを期待したが、それは叶わないようである。このままでは超インフレにはならないとしても、土地と株のバブルが発生し、バブルだからまたすぐに弾けて、なお一層、実体経済に悪影響を与える。数年後が心配だ。


安倍首相が、「物価上昇2%」を実現できないときは日銀総裁に責任を取らせる、というのは無責任だ。 [アベノミクス批判]

(1) 安倍首相が2月7日の予算委員会で、「物価上昇2%」が実現されないときは、日銀法を改正して日銀総裁に責任を取らせる旨、表明したが不当である。

 デフレ脱却について、日銀のできることには限界がある。日銀は、日銀でできることは行うが、それだけではデフレは脱却できない。まさに、政府と日銀が一体となって初めてデフレ脱却ができる。

(2) 安倍首相は、自らの公約である「デフレ脱却」について、実現できなければまさに自らの責任なのであって、日銀に責任転嫁することなど許されない。

 また、今回の発言で、安倍首相が、デフレ対処策を全く理解していない、ということも露見したというべきであろう。

(3) 労働人口大量減少の日本社会では、デフレは、誰が、何をやってもすぐには克服しがたい。政府も日銀も、産業界も、みなが努力して、少しずつ克服していくしかないのである。

 しかし、安倍首相は早期のデフレ脱却を公約にしたのであるから、実現できないときに責任を取るのは日銀総裁ではなく、安倍首相自身であることは明らかである。


現在マイナスの物価上昇率を、「日銀が早期に2%にする」などというのは、物価の安定を害す、日銀法違反行為であるが、害悪はそれにとどまらない。 [アベノミクス批判]

(1) 安倍内閣の恫喝ともいえる強い要請を受けて、日銀は1月22日、「物価安定の目標を2%とする。金融緩和を進め、できるだけ早く早期実現を目指す。」などとする、政府との共同声明を発表した。

(2) しかし、現在、物価は下落している。マイナス0.5%だとすると、早期に物価上昇率2%を実現すると、早期に2.5%程度、物価が上がることになる。

日銀法は、

第二条  日本銀行は、通貨及び金融の調節を行うに当たっては、物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資することをもって、その理念とする。

とその理念を定めている。早期に2.5%、物価を上げるのは「物価の安定」でないことは明らかである。今回の政府と日銀の共同声明は、日銀法違反の違法行為である。

(3) この点をごまかすため、共同声明でも「物価安定の目標を2%とする」としているが、たとえば、今なら、物価上昇率が1%を越えると、物価下落策を取るところ、将来、物価上昇率が2%になっても、物価は安定していると考え、それまでは物価下落策は取らない。ということなら、「物価安定の目標2%」は辛うじて「物価安定」を害するものとはならない。

 しかし、早期に2.5%、物価を上げる行為は、物価安定を害するものであり、日銀法違反の違法行為であって、決して許されないものである。

(4) 年金生活者を始め、生活保護受給者、また、給料が上がり始めるのは数年後とされているから多くの給与生活者にとっても、早期の2.5%の物価上昇は、まさに「消費税の2.5%上げ」と同様に、これまでの資金で買えるものが約97.5%に減ってしまう、生活を、約97.5%に切り詰めなければならない「被害」が生じる事態となるものである。

 また、消費税増税なら貯金の価値は減らないが、2.5%の物価上昇は、貯金の価値まで約97.5%に減らしてしまうものである。

(5) さらには、2%の物価上昇を、物価安定ととらえ、無期限で金融緩和を行うというのだから向こう5年間、2%の物価上昇が続くこともある。そうするとすると、合計10%の物価上昇になり、生活を10%、切り詰める必要が生じる。

(6) 経済を活性化した結果、物価が上がる、というなら、それは、政府や日銀がコントロールできないことだからやむを得ない、ということだろう。しかし、わざわざ、ことさらに、物価を上げる、などという政策を、しかも、短期に2.5%でも上げて、合計10%でも上げる、などというのは、日銀法違反の違法行為であるとともに、いくらでもただ同然に紙幣を発行できて、物価をコントロールすることが可能な日本銀行の横暴であり、国民は、体を張ってでも対抗しなければならないほどの暴挙であると考える。 

(7) また、前記の論述は、日銀がそのような、違法、不当な目的を定めたことへの批判であるが、そもそも、少々のことをしても、2%の物価上昇など実現できないのだから、実現できないことをやると宣言するのは、日銀の信用を失墜させる、という問題もある。佐藤健裕、木内登英の両日銀審議委員は、その理由で今回の共同声明に反対した。

 しかし、日銀の信用失墜にとどまらない可能性まである。つまり、何としても2%の物価上昇を実現するため、見境のない資金提供が行われれば、その弊害は、円の暴落などにつながりかねない。

(8) 結局、日銀は、物価を短期間に2.5%も上げるという、物価安定に反する、日銀法違反の暴挙を行おうとしている上に、それは尋常な方法では実現が難しいのであるから、たとえば、現在予定している債券等の買い入れ資金・毎月13兆円を、倍増させる等、将来の超インフレを招かないようにと、慎重に考えられた数量をはるかに超えた資金を用いてでも、目標を実現させなければならない、ということにもなるのだから、その害悪たるや、ハイパーインフレや円の暴落等、とてつもなく大きいものがあると危惧されるものである。

 ただちに日銀は、今回の決定を撤回すべきである。


安倍政権で経済はよくならない。特に危機ではない状態を、政権が危機だと騒ぐこと自体が危機だ。 [アベノミクス批判]

(1) 安倍内閣が本格的に始動した。安倍首相はデフレ対策が喫緊の課題、最大の目的であるといい、金融政策、公共投資、成長戦略が3本の柱だとして経済政策を取っていく、と表明している。

(2) しかし、安倍経済政策は成功しない。安倍氏の経済の考えは根本的に間違っている。

 物価上昇が2%に達するまで、日銀の金融緩和は維持すると公約している。しかし、物価と景気は必ずしも連動しない。景気は過熱してきているのに、円高は余り是正されず、安価な輸入品の増加等で物価は上がらないこともある。そうすると金融引き締めが遅れて狂乱物価を呼ぶ恐れがある。逆に、円安、資源高等により、景気は回復しないのに、物価が上がることがある。この場合、狂乱物価に至る可能性は小さいのに金融引き締めを行うことになる。

 最も大事なことは成長戦略であるが、成長戦略には適度の規制緩和とセーフティネットの充実が重要である。しかし、野放図な公共事業の拡大と金融緩和はこれにむしろ逆行するものである。

(3) そして何よりも、ここ20年間、現在まで誰がどんな経済政策を取っても景気が回復しないのは、日本で未曾有の高齢化、生産年齢人口の減少が起きているからだ、ということを理解していないのが問題である。

 誰が何をやっても、経済成長率は、たとえばマイナス5%から出発するのが当然なので、これをプラス3%にするのはもともと不可能に近く、プラス3%になるまで公共工事を拡大させ、金融緩和を続けるなどという方針を立てると、公共工事の拡大と金融緩和をやめられないことになる。

(4) このような現状を、何としてもすぐに回避しなければいけない「危機」だとして早期にプラス成長になることを公約すると、行きすぎた公共工事の拡大で財政破綻をもたらし、金融緩和の行きすぎで国債の暴落、バブルや狂乱物価の危機に向かうことになるというべきである。

 安倍政権で経済はよくならない。公共工事を増やした分、GDPは増えるが、それだけである。数年後、仮に国債の暴落や、狂乱物価にはなっていなくても、確実に財政状況が今よりもっと危機的になり、今後取り得る手段を縛るだけである。

 その時には、今なら打てる手も打てなくなる。安倍政権で経済はよくならない。取り返しのつかない被害を日本に与える前に、退陣すべきである。


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