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自衛隊から韓国軍への弾薬提供、緊急事態だ、という日本政府の説明が嘘なら、不当極まりない。 [新安倍政権]

(1) 国連南スーダン派遣団(UNMISS)に参加している陸上自衛隊から韓国軍へ弾薬が提供された。しかし、そのこと自体、極めて遺憾である。

(2) 日本は平和憲法のもと、あるいは平和憲法と関係なく、武器輸出(禁止)三原則を国是としてきた。武器輸出三原則は、自ら戦争はしないとしても、武器を提供して他国に戦争させるなどというのは、自ら戦争するよりも悪質である、あるいは、「死の商人」にはならない、という内外に向けての宣言である。

(昭和51年三木内閣の説明は、以下のとおりである。

 (一) 三原則対象地域については、「武器」の輸出を認めない。
 (二) 三原則対象地域以外の地域については、憲法及び外国為替及び外国貿易管理法の精神にのっとり、「武器」の輸出を慎むものとする。
 (三) 武器製造関連設備(輸出貿易管理令別表第一の第百九の項など)の輸出については、「武器」に準じて取り扱うものとする。

(3) 今回の措置はそれに反するとともに、PKO法においても、武器、弾薬の提供はしない旨、政府は一貫して表明してきたことにも反するもので、たとえ緊急事態とはいえ、今まさに相手から韓国軍が撃たれようとしているときに弾薬がない、ということでは人命にかかわる、などという場合にのみ、例外的に許されるというべきである。

(4) ところが今回は、韓国政府、国連を通じて日本政府に対しての要請があったということであるから、そんな二つの要請と日本政府の回答の時間的ロスを考えれば、韓国が自国から取り寄せればよかったもので、「韓国政府、国連、日本政府と順次連絡が行く緊急事態」というものが想定しにくかったものである。

 結局、安倍内閣による一連の、「積極的平和主義」等の、なし崩し的「戦争ができる国化政策」に利用されただけである疑いも強かった。

(5) それに加えて今回の韓国政府の発表では、「平和維持活動では、互いの協力で、現地で必要な物品の補充を受けることができる」と述べ、一般的な相互協力の一環であるとの認識を示したとのことであり、日本政府の国民に対する「緊急事態でありやむを得ない措置」という説明と全く異なるものである。

(6) 韓国政府が事実に反する発表をしているとすれば、緊急事態において他国から救済を受けておきながらそのことを否定するなどというのは、それはそれでとんでもない韓国政府の背信行為であるから、日本政府は、国連とも協力し、ことの真相を国民及び世界に対して明らかにする義務がある、というべきである。