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集団的自衛権を認めると、日本が、同盟国の侵略戦争に加担する国になる。 [新安倍政権]

(1) 安倍政権下で、現平和憲法の下でも、集団的自衛権が行使できるように、憲法解釈を変える閣議決定をしたい旨、安倍首相が言明しているが、不当である。そのような解釈は現平和憲法のもと、絶対に許されないというべきである。

(2) もともと政府の見解は、憲法9条は戦争放棄をうたっているけれども、他国から侵略を受けた場合に、国を守る自衛権は、自然権の最たるもの、生存権に基づくものであり、そのような、正当防衛的な権利まで放棄したとは考えられないから、そのために必要最小限の軍備を保持することは憲法に違反しない、というものである。

 これはあくまで、日本としては今後、絶対に戦争はしないが、万が一、日本が侵略されたような場合に、それに反撃するのは別問題である、ということである。日本は、今後、一切、戦争はしないのである。それが、戦争の放棄、憲法9条である。

(3) このことについては、平成13年12月から、小泉内閣のもとで始まった、「追悼・平和祈念のための記念碑等施設の在り方を考える懇談会」での議論が参考になる。つまり、同懇談会の中で、いかなる者を追悼の対象にするかについて、

追悼の対象は、国のために戦死した将兵に限られない。空襲はもちろん、戦争に起因する様々な困難によって沢山の民間人が命を失った。これらの中には既存の慰霊施設による慰霊の対象になっていない人も数多い。さらに、戦争の惨禍に思いを致すという点では、理由のいかんを問わず過去に日本の起こした戦争のために命を失った外国の将兵や民間人も、日本人と区別するいわれはない。

としつつ、 

戦後について言えば、日本は日本国憲法により不戦の誓いを行っており、日本が戦争することは理論的にはあり得ないから、このような戦後の日本にとって、日本の平和と独立を害したり国際平和の理念に違背する行為をした者の中に死没者が出ても、この施設における追悼対象とならないことは言うまでもない。

としているのである(平成14年12月13日の議論)。

 過去はともかく、日本は、絶対に戦争をしない国なのだから、日本の平和を害する行為をした者は必ず「悪」であり、同施設での追悼などに値しないことは明らかだ、としているのである。

(4) しかし、集団的自衛権を行使する場合はそうはいかない。たとえば、アメリカがイラクに戦争をしかけ、イラクがこれに抵抗して戦争状態になり、日本近海にいるアメリカ艦船にイラクの爆撃機から攻撃が加えられたような場合、日本は集団的自衛権に基づいてイラクの爆撃機を攻撃し、兵員を殺傷することも十分考えられる。

 アメリカには平和憲法はないから、アメリカは必要だと考えれば戦争を遂行する。その過程で現象的には他国がアメリカ軍を攻撃している場合、それがその国からすれば侵略に対する防衛行為の性格を帯びているとしても、日本は集団的自衛権に基づき、その国を攻撃することになる。しかしそれは、日本が侵略戦争に加担する、ということである。

(5) 日本は絶対に戦争はしない国なのである。自衛戦争はともかく、少なくとも侵略戦争は絶対にしない国なのである。それが日本が平和憲法を持っているということである。

 しかし、集団的自衛権を認めたとたんに、同盟国による侵略戦争に加担してしまう。罪のない、侵略を受けた他国を日本が攻撃し、その国民を殺戮することになってしまうのである。

 そんなことが許されてよいはずがない。少なくとも、現平和憲法下で認められないことは明らかである。集団的自衛権を認めると、日本が、普通に戦争ができる国になるというだけでなく、同盟国の侵略戦争に加担する国になってしまうのである。

 そんなことは決して許されないとともに、そんな大事なことが十数人の閣僚による閣議決定で決められてしまう、などということがあってはならないことは、余りにも明らかである。


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