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ヒトラーと靖国神社、ヒトラーは特殊な宗教で国民を洗脳することまではしなかった。 [戦後民主主義問題]

(1) 女性タレントが、テレビのワイドショーで靖国神社について、ヒトラーの墓に参拝することに例えたことで彼女のブログに「靖国神社応援団」からの批判のコメントが殺到して、いわゆる「炎上」しているそうである。

(2) ヒトラーと靖国神社、靖国神社に祀られている人々がヒトラーのようだったか、というと、それは大きく違うのだろう。たとえ「A級戦犯」、例えば東条英機とでも、ヒトラーとは全く違う。

 方や、明治維新以降、欧米列強に遅れまいと、欧米列強がしてきたのと同じように世界に進出、侵攻していった大日本帝国の、最後の首相だっただけの人物である。それと、自らナチスを組織し、自ら個人崇拝の対象となり、世界征服を企図し、ユダヤ民族の殲滅まで謀っていたヒトラーを同一視することはできない。

(3) しかし、国民がどんな迷惑、害悪を被ったか、という観点からして、今、ドイツでヒトラーの呪縛に捕らわれている者は決して多くないが、靖国神社にはいまだに多くの国民が参拝し、世界中の批判をものともせず、首相まで参拝している。戦後69年、その影響力を国民の精神に残した大日本帝国の罪悪は決してヒトラーに劣らないと考える。

(4) 明治政府は、国家神道によって日本人を宗教的に洗脳し、天皇は神であり、天皇のために戦死すれば靖国神社で神になる、など信じさせ、それが宗教に基づくものだけに、あながち「嘘」ではなく、「罪なき人を殺して自分も死ね」と教えた、人の道に反するような宗教を子々孫々まで信じ続けさせることになっているからである。

(5) 明治政府は富国強兵を図るのに農民出身の若者を兵士として国のために死をも厭わずに戦わせるために、国家神道という宗教まで作り出した。天皇は神で、日本は神様の国で、神様の国に編入される周辺の諸民族は幸せで、天皇のために戦死すれば兵士も神となると教え込み、国民を洗脳した。その結果、若者は天皇陛下万歳と叫んで死に、靖国神社に祀られるのが本望で、その母親は息子を戦場に送り出すのが日本の女としての最大の名誉であると、少なくとも表向きには思い込まされた。

 そして、そのような宗教的洗脳は、「戦争反対」などの市民の運動、また、素朴な思いまでも圧殺することを容易にし、反対の声を押さえて1億が火の玉となって地獄に向かって突き進む大きな原因になったこともまた明らかである。

(6) 宗教とは恐ろしいものである。生死や正義までも掌るからである。宗教上の対立からもう何百年も殺し合いを続けている地域が世界にいくつもある。

 9.11にニューヨークのツインタワーにアラーの神万歳と叫びながら突っ込んだ回教徒は、その大量殺戮行為を「聖戦」と称し、これに対抗してイラクに侵攻したブッシュ大統領は自らを「十字軍」だと言ったことも記憶に新しい。

(7) すでにある宗教に基づき、国民が行動するのは「宗教の自由」の観点から政府としてはコントロールしがたい面がある。しかし、国家が国家に都合のいい宗教を作り出して国民に宗教教育をほどこし、国家のために死ぬ若者を作り出す、などというのは言語道断である。

 しかも、国民はそういう宗教を植え付けられ、現に息子や親、親族、仲間を亡くし、彼らが靖国神社に「英霊」として祀られていると信じているため、天皇が自ら、神ではなく人間だと宣言したあとでも、靖国神社を否定することは「英霊」を「英霊」ではなく「侵略者、人殺し、犬死に」であることを認めることになるもので、受け容れ難いものとなってしまった。

 そのことについての当時の日本の政府の責任は、極めて甚大なものがあった。

(9) 現在の日本の政府、指導者のなすべきことは、靖国神社に首相が参拝し、靖国神社に対して国からの関与を深める憲法違反行為を行うことではなく、二度と特定の宗教を使って国民を動かすようなことはしないこと、また、世界に向かって侵略戦争の反省の意思を表明し、先の大戦で犠牲になった兵士、市民を国民全体で、また世界の人々とも一緒に追悼できる施設を作ることであると考える。


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