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仏週刊誌の「3本の腕、足の力士の風刺画」、「傷者への思いやりを」と言っても彼らには通じないのだろうか。 [東日本大震災]

(1) フランスの週刊誌「カナール・アンシェネ」(Le Canard Enchaine)が、福島第1原発事故の問題を抱える日本が2020年夏季五輪の開催地に選出されたことを風刺する漫画を掲載した。

 問題の漫画の一つは、損壊した原発の前の土俵で3本の腕や脚がある力士が向かい合い、その横でスポーツ解説者が「すごい、福島のおかげで相撲がオリンピック競技になった」とコメントしているもの。もう一つは、プールの前で防護服を着用し放射線測定器を手にした2人が、ウオータースポーツ会場は福島に建設済みだ、と話している。

(2) これに対して日本政府は、同紙に対して正式な抗議文書を送付すると表明しているが、「カナール・アンシェネ」は9月12日、「責任をもってこの風刺画を掲載した。いささかも良心に反するところはない」と述べ、日本人にはユーモアのセンスがないと嘆いたとのことである。

(3) しかし、言うまでもなく福島原発事故と東日本大震災で、地元の人々は甚大な被害を被った。地震や津波で親族、知人を亡くした人も非常に多いし、自身、現に放射能を大量に浴びた人もいる。また、放射能のせいでふるさとから追い出され、ふるさとの大地が放射能汚染され、まさにふるさとに残してきた家畜などでも奇形の発生が危惧され、それがいつ、人間に現れるかという恐れにおののきながら生活しておられる、などということを考えるだけでも、その方々の苦難は、想像を絶するものがあろう。

(4) 将来、福島で3本の腕や足のある人が出現する、というのは、地元の人々にとって、最悪の事態である。その最悪の状態になった、という状態を示して茶化す、などというのは、彼らに対する「同情」「お見舞い」の対局に位置する態度で、状況の悪化を望んでいるのか、ということになる。地元の人々にとっては、そう思うだけで新たな「悲しみ」であろう。 

 深く傷ついた人々を、さらに強く傷つけるなどというのは、まともな人間のすることではない。ほとんどのフランス人は、「カナール・アンシェネ」のことを嘆いているものと信じる。


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