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「原発事故のリスクは融資の際に織り込まれているのが当然だ」として政府が東電の金融機関に債権放棄を迫るのは間違いである。 [東日本大震災]

(1) 5月13日、福島原発事故の被害者救済スキームに関して政府は、銀行等の金融機関に対して巨額の債権放棄を求め、金融機関が債権放棄をしなければ、東電の法的整理もありうる旨を示唆した上で、原発事故発生前の融資の取り扱いについて枝野官房長官は、

「事故のリスクを当然、考慮に入れているのがマーケットの基本だ」として、原発事故を起こすような会社に貸した方が悪い、原発事故が起こるリスクも考えて銀行は東電に融資しているのだろう、と言わんばかりのコメントを出し、これに対して金融業界は強く反発している。

(2) 政府は、原発事故は絶対に起きないと、さんざん言ってきたもので、
それを前提に東電の社債の利率も決まり、銀行貸し付けの金利も決まっていたはずである。

 また、政府が、原発事故が起こる可能性と起こった際に発生する危険性を考えて銀行は融資を行え、というのなら、銀行は電力会社への融資などできない。

(3) 特に、中部電力への融資など、直ちに回収しなければならない。
 あすにも東海地震が起こる可能性があるからこそ、政府は浜岡原発を止めさせたのだろう。5月15日、浜岡原発は、発電そのものは停止したが、そこから向こう1~2年、原子炉は冷やし続けなければならない。その間に大津波が来て電気系統、配管系統が破壊されると、まさに浜岡原発は「福島原発の3月12日」の状況に置かれて、周辺は莫大な被害を受ける。

 その場合、中部電力も直ちに倒産の危機に瀕し、銀行は債権を回収できなくなる。関西電力その他、原発を持つ電力会社は可能性が小さいとはいえ、みな同じ構造にある。

(4) 絶対に起こらないと政府が言っていた原発事故が起こってしまったことについて、当事者の東電は、政府と同じ責任があるのだとしても、政府の言うことを信じた民間企業は、たとえメガバンクでも、そのことで損失負担を当然のごとく政府から求められるというのは、どう考えてもおかしい。 

 これでは電力会社に金を貸す金融機関など無くなってしまう。電力会社自体も、適切な投資先ではなくなってしまうもので、経済界に与える悪影響は計り知れないものがあると考える。


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