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中央銀行が国債を買い取れば何とかなる日米の財政赤字は、ギリシャとは違う。 [経済]

(1) 米FRBが国債の購入拡大を発表し、さらなる景気拡大策を取ることになった。

 FRBがどんどんドルを刷って、米国債を購入すれば、金利を払わなくて済むから(FRBの得た国債金利を政府に回せばよい)、財政赤字自体も問題は小さくなる。

 ドルを刷りすぎるとドルの価値が減るが、ドル安、つまり円高、ユーロ高、元高などになっても、米国にとってはむしろ輸出が有利になって好都合であろう。世界からドル安の批判が出て堪えきれなくなるまで、FRBによる米国債の購入というのは、かなりマシな経済政策ということになるのだろう。 

(2) かたや、日本においてはさらに、ここ10年以上、ずっとデフレ状態である。日銀がどんどん日本国債を購入し、円を刷って市場に出し、資金を供給する。日銀が購入した分の日本国債は、金利を払う必要が無いから、政府の財政負担は減る。そこで、若干、インフレになるくらいまで、デフレの間は日銀が日本国債の購入をどんどん続ければよい。

 これは、円の価値を減じる行為となるが、今は円高であるし、その問題も小さいだろう。インフレが高じるか、円安が高じるか、それまでは日銀が日本国債を買い続ける、というのも、これは、米国よりも、さらに、かなりマシな経済政策なんだろう。

(3) 一方、ギリシャの場合、いわばEU政府の地方自治体のような立場であって、自分ところの国債だけを中央のEU政府、ヨーロッパ中央銀行に買ってもらうわけにはいかないのである。ギリシャ危機を引き合いに、日本財政の危機を論じるのは、そのような意味においてもかなり誤導的である。

(4) 日本国債を日銀が自動的に引き受けるのは不当だが、ひとたび民間で購入した国債を、インフレもにらみながら時価で市場から購入する分には、特に問題は無いのではなかろうか。

 特に、日本国債が暴落したような場合、これ幸いと日銀が日本国債を買い集めれば、日銀は日本国債取引で大儲けし、利益を国庫に納入させればよい。まあ、すぐに日本国債の暴落は収まるということであろう。

 少々のことではこの日本ではインフレになどなりそうにないのだから、今のうちに、どんどん日銀が、日本国債を買って国としての利払いの負担を減らし、市場に資金をどんどん供給してはどうだろうか。


ギリシャ危機、金融政策を縛られた政府は、いわば夕張市が債券を乱発したようなものだ。 [経済]

(1) ギリシャ国債の暴落に端を発する「ギリシャ危機」で、EUとIMFが55億ユーロ(6500億円)の緊急融資を行うことを決め、何とか危機を脱せそうな状況である。

(2) 浜矩子・同志社大学大学院教授の「ヨーロッパが世界経済を消滅させる日」(フォレスト出版)にユーロの問題点がよく整理されているが、ギリシャがユーロに参加したことが、ギリシャ危機の始まりがあったとされている。

 つまり、旧通貨のドラクマ建のギリシャ国債だと、ドラクマが下落するリスクもあってかなり高い金利でなければ発行できなかった。ところが、ユーロ建になって通貨下落のリスクがなくなるとともに、ドイツやフランスの大銀行がどんどん低い金利でユーロ建ギリシャ国債を購入し、いつの間にか国債を発行しすぎていたところに、リーマンショックで国債を大量に追加し、ギリシャは危機に陥ってしまったものである。

(3) ところで、ギリシャが財政破綻の危機に陥ったことについて、通貨政策、金利・金融政策を持たない政府は、そもそも国債を大量に発行する資格がなかった、いわば、地方自治体が財政破綻に陥ったのに似た面があるように思われる。

 つまり、普通の国であれば、どんどん金利を下げて、中央銀行が潤沢に資金を供給するところ、ユーロ圏のギリシャではその政策がとれないことから、国債発行による財政政策に頼らざるを得ないのである。しかし、そもそも赤字財政も、ユーロ体制に加わるためには制限がある。さらに、ギリシャ政府が消費税を大きく上げると、同じ物を隣の国へ行って買うと安く買えることになり、それも制限がある。いわば日本国内で地方自治体、たとえば夕張市が赤字財政で破綻するようなものである。

(4) かたや日本は、島国で、簡単に外国へ行けず、自由に金利を決められて、基本的に円高傾向で、日銀がいくらでも資金を供給できる日本は、まだまだ国債破綻はないだろうということになる。

 単一通貨ユーロの国際的実験は、まさに「世紀のもの」であるが、金融政策が大幅に縛られていることから、国内の自治体の起債と同様の制約があるという観点で、つまり、今後は、ユーロ圏内の各政府の起債は、日本の自治体などの起債と同様の制約が課せられるということが検討されるべきなのである。


小泉、竹中両氏の楽天証券での講演、今は株を買うな、ときっちりアドバイスせよ。 [経済]

(1) 7月4日に楽天証券が開く証券セミナーで、小泉元首相と竹中元総務相が講演するそうである。

(2) 証券セミナーなんだから、主催の楽天証券とすれば、株を買ってもらう客集めのためのセミナーなんだろうが、小泉、竹中両氏は、民主党政権の経済運営では株は上がらないと思っているのだろう。

 小泉、竹中両氏が、自分たちのせいで多くの貧困や不幸を大量に生み出したことを棚に上げて、現政権の経済運営を徹底的に批判するのだろう。

(3) それはそれで勝手だが、言いたいことを言うのなら、最後に、証券会社のセミナーであろうとなかろうと、当面、株は買うな、ということをきっちりアドバイスすべきである。

 そうでなければ、小泉氏も竹中氏も、株が下がると考えているのに株を買えという、証券会社詐欺の片棒を担ぐ、詐欺師の一味に成り下がった、というべきである。


菅財務相の、為替の口先介入を支持する。 [経済]

(1) 菅財務相が就任早々、円-ドルレートについて口先介入を行って話題になっている。1月8日の日経新聞1面には、「発言に信頼得る努力を」という編集委員の滝田洋一氏の意見が掲載されている。

 要するに、円安を希望する、などということは、相手のアメリカのことも考えて、慎重に発言すべきで、深く考えてのことなのか、と疑問を呈しているものである。

(2) しかし、藤井前財務相は、ことさらに介入すべきでない、という立場を明確にし、その結果、大きく円高に振れて発言を修正する、ということがあった。

 菅氏の場合はその対極で、円安のためには、「いつでも介入する用意がある」という立場の表明で、現政権、特に自分は円安を望んでいる、そのために行動する、ということの、就任にあたっての宣言であり、「90円台半ばが適切」という、変動幅の許容範囲内のところで、確信犯的に口先介入したものとして、これからこの手は自制してもらえれば、今回は、特に問題の無い発言だと考える。

(3) アメリカも特にこれに反応することもなく、現実に相場は円安に振れたのだから、むしろ、就任早々、1円も使わずにうまくやった、その結果、日本経済によい影響を与え、株価も上がって結果的にもよかった、と評価すべき行動だったと考える。


日銀は無尽蔵に資金を供給し、円高とデフレに対応せよ。 [経済]

(1) 12月1日、日銀が0.1%の固定金利で10兆円の資金を市場に供給することを発表した。若干遅かったとの誹りは免れないが、今からでも遅くはない、妥当な決定である。

(2) 今年度、税収が当初見込みの46兆1000億円から6兆円以上も激減し、財政出動とは関係なく、50兆円の国債新規発行が必至な状況になっている。http://kentaro-0013.blog.so-net.ne.jp/2009-10-20

(3) 新政権は、赤字国債を発行して財政出動による景気対策は、赤字財政が限界を超えつつあることを認識しているはずで、小渕、森放漫財政の系譜を継ぐ亀井大臣の意見などにまどわされることなく、財政出動は最小限に抑えるべきは当然である。

(4) 財政出動は限界を来しているのであるから、頼みは日銀による金融政策である。当面の円高、デフレ脱却に効果があるのは日銀による資金供給である。当面、それによるインフレの恐れなど全くない。

(5) 警戒すべきは、その資金が資源投機その他おかしな投機に向かって世界経済に悪影響を与えることである。そこだけは経産省や金融庁が各国当局と連携を密にして08年の原油高騰から暴落、リーマンショックに連なる一連の大混迷の再現は何としても避ける方策を取らなければならない。

(6) その前提で、日銀は、無尽蔵にいくらでも、という覚悟で、徹底的な資金供給を断行すべきである。


円高による景気悪化を恐れず、政府は出費削減を毅然として進めよ。 [経済]

(1) 円高が進行し、景気への悪影響が懸念されている。これに対応する財政出動を10兆円規模で行え、などという意見まで政府内部から出ている。

(2) 確かに、赤字国債を増発し、財政出動を行えば、その分、GDPを増加させ、財政出動を減らせばその分、GDPを減らすことになる。

 しかし、景気のためと称して借金を増やし続けても切りがない。どんどん借金ばかり増えて、ますます日本の将来がおかしくなる。莫大な借金のツケを子孫に残すのももう限界を超えているというべきである。

(3) 今はよくても、将来の世代における財政出動による景気対策の手段を封じていることに早く気付くべきである。

(4) 現在の国の財政状況は非常事態である。40兆円の収入で90兆円の支出を行っているなどというのは、およそ限界を超えているというべきである。

(5) 財政赤字を減らせば景気が悪くなるのは当然である。当面、景気を悪くしなければ財政は改善しない。

 政府は、景気悪化を恐れずに、財政健全化を毅然として進めるべきである。


店頭外国為替証拠金取引(FX)は、承認されるべきではなかった。 [経済]

(1) 証券取引等監視委員会は4月24日、外国為替証拠金取引(FX)の証拠金倍率を規制するよう金融庁に要請したとのことである。

 金融庁登録業者の中には500倍の証拠金倍率のところもあったところ、金融庁は要請を受けて、証拠金倍率を20~30倍前後にする方向で調整しているとされている。

(2) 証拠金倍率500倍というと、100万円で5億円分のドルが買えるから、1ドル=100円で建てていて、99円になっただけで500万円の損だから、さらに400万円を払わなければ取引を終われないということである。

 しかし、通常、ロスカットルールがあるので、証拠金の半分を欠損したときに自動的に取引を終了させられることになり、追加金を請求されることは普通はない。そこで、ドルが0.1円動くだけで50万円の損で取引が強制終了させられることになる。

(3) この、倍率を証券取引等監視委員会が規制したい、というのはどういうことであろうか。公安委員会がパチンコで1回10万円も儲かるようでは射倖性が高すぎるとして規制するようなものだろう。

 しかし、そもそも外国為替証拠金取引は一般人にとっては賭博そのものである。倍率を規制するというのも一般投資家にとっては余計なお世話で、100万円を出して0.1円動いて取引が終了するのが嫌なら、5億円ではなく、5000万円分に取引を押さえればいいし、1億円分のドルの取引をしたいと思う投資家にとって、倍率10倍なら1000万円の資金を現実に用意する必要があるところ、倍率100倍なら100万円を実際に支払い、900万円はいざというときのために用意して別途運用するようにすれば、むしろ倍率の高さは投資家にとってメリットである。

 ちなみに、金融先物取引所(東京金融取引所)ですら、倍率は、100倍となっている。http://www.click365.jp/rule/index01.shtml


(4) 要は、倍率の問題ではなく、説明義務や適合性、納得の問題であると思われる。一度外国為替証拠金取引を登録制により公認し、当初は倍率について規制が無く、証拠金倍率600倍で運営されていたものを、今になって突然、20~30倍に制限するというのも、不当な業界規制だということになる。

(5) 証券取引等監視委員会の懸念は結局、実際の市場で取引されるわけでもないのに、数字の動きだけで大金を得たり失ったりする事態を放置できなくなったということだと思われる。

 しかし、今や実際に市場で取引するわけでもないのに、数字の動きだけで大金を得たり失ったりする取引が、CFD取引(差金決済取引)の名のもとに、ニューヨークの原油市場や世界の株式市場のもの等を取引できるようになっている。

 店頭外国為替証拠金取引もCFD取引の一種であるが、これらは皆、賭博以外の何者でもない。ドルや商品、株などを実際に買うわけでもなく、ほとんど市場価格の決定に寄与するわけでもない。特に外国為替証拠金取引ではスワップ金利が付くために日本では相場予想にかかわらずドルの「買い」に偏した取引が行われてむしろ円-ドル市場を乱すものとされている。

(6) 外国為替証拠金取引だけならまだしも、CFD取引と称して何でも数字の動きだけで利益を得る博打場を次々と提供するようなことがあってはいけなかった。

 外国為替証拠金取引は、そもそも承認されるべきではなかったのである。


EUの金融規制・証券取引規制に、日本政府も連携せよ。 [経済]

(1) EUが、ヘッジファンドを登録制にして詳しい検査を行い、また、格付け会社等に対する監督も強化することを決めた。これは、グローバル化したアメリカ金融資本が、世界中でやりたい放題活動していたのを改めさせようというものである。

 世界中の政府や企業さえもその実態がよく判らない「高格付け証券」が大手を振って世界中の金融市場、証券市場を席巻していたが、アメリカの住宅価格が下落しただけでその多くが価値を大きく減じ、世界中の経済に重大な悪影響を与えた。EUではそのことを反省し、EU自らこれらを正確に把握し、適正な規制を行おうとするもので、極めて適切な対応である。

(2) EUとしては、ヘッジファンドや、格付け会社による格付けの実態を把握し、自らも地域内で流通している証券のリスクやヘッジファンドによる取引の実態を正確に把握し、市場の加熱が見られた場合には適時の規制措置を講じることで、安定して成長する市場経済を作ろうとしているものである。

 また、金融会社が経営破綻した場合、過去に経営者に支払われた高額報酬を返させるという制度もできるとのことであるが、金融会社の経営者がおかしな金融商品で短期的にぼろ儲けをして、後日、会社が破綻して世界に多大な迷惑をかけても、後は野となれ、ということでそれまでに得た莫大な報酬はそのままで経営者を辞するだけでよい、という状況が今の世界同時不況を生んだ、という反省に基づくものとして、妥当な制度だと考える。

(3) これらの制度は、アメリカ金融資本を世界中で規制していこうとするもので、当然、米国の反発は予想されるところであるが、日本政府は、米国の圧力に屈することなく、EUを始めとする米国以外の世界の国々と連携し、二度と今回の世界同時不況のようなことが起きないよう、日本でも同様の規制を強めていくべきであると考える。


このままでは10年後に、110年に一度の世界不況が来る。 [経済]

 市場原理主義、新自由主義が敗北した、崩壊したなどと言われるが、彼らは、決して死んではいない。今のままでは確実に2年で蘇る。

 つまり、ハイエナ金融資本にとって、今回の世界同時不況は、むしろ想定の範囲内、予定どおりの結果である。住宅価格の上昇等を絶対的前提条件に、いかがわしい金融工学で世界バブルを膨らませていけば、いつかは大爆発することは、彼らには判らなかったはずはなく、判った上で、その間、行け行けどんどんで、金融会社を大きくして、個人的には毎年何十億円などという報酬を取り続けて、会社をつぶした悪魔の経営者たちは、今はタヒチあたりで、2年くらいの長期バカンスを楽しんでいるのであろう。

 2年くらいして、経済が上向きだした頃に、彼らは行楽地からウォール街やシティに復帰し、またぞろ、世界バブルを作り始めて、莫大な報酬を取り出すだろう。

 また、この間に、すでにアメリカには電器産業など存在しないのであるが、非効率な自動車産業なんかも消えて無くなっていれば、もっとやりやすい、というところである。

 だいたい、オバマの経済政策を取り仕切っているのは、ガイトナー財務長官と、バーナンキであるが、彼らこそ、ハイエナ金融資本の権化みたいな存在で、彼らの重大な影響下にあるFRBも、SECも、CFTCも、全く信用できないのは明らかである。

 日本だけは、誰が何と言おうとJ・スティグリッツの、「情報の非対称下に自由経済は成り立たない」という理論を信奉し、消費者庁が、アメリカが何と言おうと、消費者庁認可商品以外の金融取引を、少なくとも個人には、また、プロ同士でも取引を認めない、という方針を貫けば、10年後にまた来るであろう、110年に一度の世界不況にも、日本だけはある程度、避けられる、ということになる。

 わけのわからないものの流通を許すと、ハイエナ金融資本が、世界中で、自由に跳梁することになる。日本ではリーマンが、いかがわしい仕組み債を売りまくって、第一回利払い日の前日に破綻し、日本の投資家は1回も利払いすら受けていない、などというものが続出しているのが、そういう計画倒産、国際詐欺に今の金融庁は全く無力である。

 今、議論されている消費者庁は、金融商品は管轄外であるから、さきの「日本だけは被害を受けない方法」は、民主党政権下で日弁連出身の消費者庁長官でも出ていないと、逆に、10年後に、110年に一度の大不況がやってくることは確実だ、ということになるのである。 


生前贈与・非課枠税拡大に賛成である。 [経済]

 自民党が、麻生総理の持論でもある、生前贈与非課税枠、減税枠を、景気対策の関係で拡大することを検討しているとのことであるが、導入に賛成である。

 亡くなる直前の老人が持っていてもなかなか消費に回らないものを、亡くなる前に子供たちに適宜贈与してもらえば、子供達の「子育て費用」その他、有意義に使ってもらえるもので、また、消費の拡大につながることも明らかである。

 現在、特に検討されているのは、贈与を受けその資金で住宅を購入した場合とのことであるが、単なる贈与ではなく、贈与金で支出をした場合に限り減税の対象等にすることにより、消費を促すことができるものである。

 この案に対しては、貧富の格差を固定化するものである、などとの批判があるが、たとえば、当面は5%などという課税を行い、実際に亡くなった時に、相続税の割合に合うように調整すれば、そのような批判もクリアできる。

 また、「貧富の格差の固定」という観点からは、高齢の親が亡くなって、子供もかなり高齢になってからまとめて遺産を受けて、そのまま財産として子々孫々に受け継がれるのと比べて、若いうちに贈与を受けて消費させてしまうのであるから、資産として残る分は減り、高額資産の固定、承継はむしろ減少する方向に働くはずである。

 また、仮に税収が多少減ったとしても、景気対策の名のもとに、過疎地に無駄な道路を造って無駄遣いすることに比べれば、ずっとマシだというものである。

 特に、今はなりふり構わず景気対策をとるべき時であり、雑音にとらわれず、堂々と導入すべきだと考える。生前贈与非課税枠拡大は、やり方によっては決して金持ち優遇策でも、格差固定策にもならない。断固導入すべきである。