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君が代日の丸条例ができて、却って不起立処分は違法、違憲となった。 [大阪府政・市政]

(1) 君が代日の丸条例ができて初めての卒業式が行われ、大阪府教委は不起立の教員17名に対して戒告処分を行ったことを発表した。

 しかし、君が代日の丸条例ができて、却って不起立処分が違法となったと考えるものである。

(2) なぜならば、最高裁は、卒業式における日の丸掲揚、国家斉唱は学校における儀礼的儀式であるから、その際に教員に起立斉唱を求めることは儀礼的儀式への参加を求めることに過ぎないもので、特定の思想告白要請や、教員の一定の世界観否定と不可分に結びつくものではない、としているものである。

(平成23年6月6日・最高裁判決http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20110606165018.pdf末尾に該当部分を引用する)

(3) つまり、卒業式における国旗掲揚・君が代斉唱は多くの人にとって、単なる儀式であって、愛国心の養成等、特定の価値観を押し付けるものではないから、そこに一部教員が特定の価値を見いだして思想・良心の自由等を根拠に不起立等の行動に出ることに正当性は見いだせず、秩序を乱す行為として、処分することも許される、ということだと解される。

(4) ところが、大阪府の君が代・日の丸条例は、大阪府が、君が代斉唱と国旗掲揚に特別の意味を見いだし、単なる儀式としてではなく、卒業式という、児童、生徒の教育上、極めて重要な意味を持つ式典において、ことさらに君が代と日の丸に敬意を表する態度を示させ、かつ、その職務規律を厳格にする、という条例を制定したもので、まさに、特定の価値観、世界観の押し付けとそれに共感するとの思想の表明を強いることになることから、最高裁判例の考え方からしても、不起立の教員を処分することは、違法、違憲となると考えるものである。 

 君が代日の丸条例の制定により、その後の「不起立」は、それ以前ならともかく、制定後の処分は、却って違法、違憲となったのである。 

(平成23年6月6日・最高裁判決・抜粋)http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20110606165018.pdf

しかしながら,本件各職務命令の発出当時,公立高等学校における卒業式等の式典において,国旗としての「日の丸」の掲揚及び国歌としての「君が代」の斉唱が広く行われていたことは周知の事実であって,学校の儀式的行事である卒業式等の式典における国歌斉唱の際の起立斉唱行為は,一般的,客観的に見て,これらの式典における慣例上の儀礼的な所作としての性質を有するものであり,かつ,そのような所作として外部からも認識されるものというべきである。

したがって,上記国歌斉唱の際の起立斉唱行為は,その性質の点から見て,上告人らの有する歴史観ないし世界観を否定することと不可分に結び付くものとはいえず,上告人らに対して上記国歌斉唱の際の起立斉唱行為を求めることを内容とする本件各職務命令は,上記の歴史観ないし世界観それ自体を否定するものということはできない。

また,上記国歌斉唱の際の起立斉唱行為は,その外部からの認識という点から見ても,特定の思想又はこれに反対する思想の表明として外部から認識されるものと評価することは困難であり,職務上の命令に従ってこのような行為が行われる場合には,上記のように評価することは一層困難であるといえるのであって,本件各職務命令は,特定の思想を持つことを強制したり,これに反対する思想を持つことを禁止したりするものではなく,特定の思想の有無について告白することを強要するものということもできない。

そうすると,本件各職務命令は,これらの観点において,個人の思想及び良心の自由を直ちに制約するものと認めることはできないというべきである。


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