JR福知山線事故での山崎社長の起訴は不当である。 [刑事裁判問題]
(1) 3年前のJR西日本福知山線事故で、現社長の山崎正夫氏が業務上過失致死容疑で7月8日に起訴された。
容疑は、平成8年に現地を600メートルから300メートルのカーブに線路を付け替えた際、その頃、半径の小さいカーブの速度超過のミスが各地で問題になっていたにもかかわらず、自動列車制御装置・ATSを設置しなかった、当時、鉄道本部長だったときの過失を問われているものである。
(2) しかし、事故は、その9年後の平成17年に、制限速度70キロを46キロもオーバーした運転士の異常な運転により生じたものである。
それを、9年前の工事の時点での、設置が義務付けられているわけでもないATS装置を付けなかった、などということを過失として捉えて起訴するのは、全く理由が無い、不当起訴だと考える。
(3) 直接の責任者が判明しない場合、誰かに責任が無いはずがない、として管理責任者が起訴されたりすることがあるのは判るが、本件は、急カーブを制限速度の1.6倍の猛スピードで侵入したのだから、大事故が起こって当然である。
制限速度を大幅に超えてカーブに侵入したら、大事故が起こるような場所は他にもいくらでもあるものと思われる。そのすべてにATS装置が無いならば、結果が未発生なだけで、未設置自体が重大な過失だということになってしまう。
(4) 問われるべきは運転手の無謀運転、ないしは、無謀運転を止められなかった管理責任の方であって、9年前の工事に最新の装置を付けなかったことの過失を問うなどというのは、事件の本質からほど遠いものである。
(5) 結局、本件は、運転手の異常行動から起こったもので、その責任がすべて会社にあるのは当然であるが、誰かに刑事責任を負うほどの責任があったのか、ということとは全く違う話である。
それを、現在の社長で、なんとなく、誰か1人、起訴しないと収まらないだろうとの世論におもねって山崎氏を起訴したようにも思われるもので、本件起訴は極めて不当であると考える。
コメント 0