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公務員は、法律で決まっているから君が代を斉唱する義務があるとの橋下市長の説に反論する。 [大阪府政・市政]

(1) 橋下大阪市長は、教員に卒業式等での起立、君が代斉唱を強制することができる根拠として、公務員が法律に従うのは当然だから、ということと、処分の正当性は最高裁でも認められている、と主張している。

(2) 公務員が法律に従うのは当然である。しかし、その法律というのがどの程度重要で、それに従いたくないという意向がどのようなもので、法律違反の結果がどのようなものかで、処分の妥当性が決まるというべきである。

(3) 法律や指示に反して、儀式を乱す行為は、当該公務員がどのような思想信条を有していても、それに基づく行為が許されないことは明らかであろう。

 しかし、そもそも卒業式で、君が代を斉唱することは、儀式における国歌斉唱のマナーを教えるためにしているものではない。儀式だから儀礼的に国歌が歌われているのであって、一糸乱れず国歌を歌うことが、教育的見地から卒業式に不可欠の要素ではない。

 「卒業式では思想信条の問題から、君が代を歌わない教師がいるかもしれないが、国家的儀式において、国歌を起立斉唱することは国際的マナーである」ということを別途教えればよいことであり、教員が全員、君が代を斉唱しなければそれを教えられない、というものでないことは明らかである。

(4) 要は、国歌斉唱は、法律や通達で定められ、一般に是認されている儀式なのに、それを乱す行為は、日の丸や君が代についての思想信条が理由であるならば、それは正当とは言えず、処分の妥当性が認められる、というのが最高裁判例の考え方だと思われる。

 何でもかんでも、法律や通達に決められたことをしない、ということで、すべて、懲戒の対象となるものではない。大したことのない法律や通達に反しても、特に問題はないのである。

(5) これに対して、大阪府が、君が代・日の丸条例を作り、大阪府職員がことさらに国旗・国歌への忠誠を誓うような制度を作ったことで、それに反する行為は条例に対する重大な違反行為となっている。

 しかし、法律制定の時もわざわざ、強制はいけないという決議までされた日の丸・君が代について、条例まで作って大阪府だけは職員に忠誠を誓わせる、などというのは、立法事実を欠き、逆に、憲法違反となるものと考える。

 この問題についての今後の判例の展開が待たれるところである。


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