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自民党の憲法改正案、天皇の元首化、国旗国歌の尊重義務など、時代錯誤も甚だしい。 [戦後民主主義問題]

(1) 4月27日、自民党は憲法改正案を発表したが、時代錯誤も甚だしい。

 第一章、天皇の章の新設条文等は以下のとおりである。

1条 天皇は、日本国の元首であり、日本国および日本国民統合の象徴であって、その地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく

 3条 国旗は日章旗とし、国歌は君が代とする

 2 日本国民は、国旗および国歌を尊重しなければならない

 4条 元号は、法律の定めるところにより、皇位の継承があったときに制定する

 6条 5 1項および2項に掲げるもののほか、天皇は、国又は地方自治体その他の公共団体が主催する式典への出席その他の公的な行為を行う

(2) しかし、このような憲法改正案を出す自民党の見識を疑う。自民党は民主主義政党ではなかったのか。

 本来、人は生まれながらに平等である。どうして天皇だけは別なのか。戦後、日本国憲法制定時は、大日本帝国憲法からの移行時で、一挙に天皇制を廃止するわけにもいかず、終戦の混乱を避ける目的もあって、過渡期としての象徴天皇制が定められた。しかし、国権に関する権能は一切持たず、まさに象徴的機能のみを持つ、ということで、その民主主義的正当性が認められるものである。

(3) ところが、自民党の改正案では、天皇を元首と位置づけている。元首とは国の代表者であり、国家権力の最高地位にある者である。自民党案で1条で天皇を元首とすれば、それ以降の条文は、天皇が元首として本来持つ権能を制限するに過ぎないことになる。

(4) また、国旗、国家を天皇の章に規定するというのは、まさに天皇の国である「日章旗」、天皇をたたえる「君が代」ということを正面から認めることになる。そして、3条2項で国民の国旗、国歌尊重義務を定めるなど、その非民主性は時代錯誤も甚だしいものである。

 現在でも、君が代、日の丸尊重義務は卒業式などでも、公務員たる教員には認められても、生徒や父兄、来賓に求めていない建前になっている。

(5) 国歌、国旗ないし国そのものについても、尊重するかしないかは国民の自由のはずである。具体的行為としての義務を果たせば、ことさらに無礼な態度を取って他者の気持ちを害する行為を禁止するようなこともあっても、敬意を抱いていないものに「尊重せよ」などと思想規制を行うなどと、思想良心の自由を侵すもので、決して許されないものである。

 自民党は一体、何を考えているのか、時代錯誤も甚だしいというべきである。


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